2016年5月17日(火)
論戦ハイライト
熊本地震 住宅再建支援金500万円に
衆院予算委 藤野議員、政府に迫る
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日本共産党の藤野保史政策委員長は16日の衆院予算委員会で、最大300万円にとどまっている被災住宅再建への支援金を500万円に引き上げるよう強く迫り、引き上げを拒否する政府の言い分を突き崩しました。安倍晋三首相は拡充を拒否するまともな理由を示すことができず、支援金の引き上げが必要なことが浮き彫りになりました。
増額できない理由なし
地域復興に直結、被災者励ます
「今、行政に最も力を入れてほしいこと」をたずねた熊本地震の被災者100人アンケートでは、「住宅の支援」が70人と突出しています(「朝日」5月15日付)。
足らない金額
藤野氏は、東日本大震災では“国の支援金300万円では住宅再建できない”と被災自治体が独自の支援制度を創設し、地域社会の復興に大きな役割を果たしたことを指摘しました。
独自支援制度を創設した岩手県陸前高田市では、水産会社の社長らが「支援金をもらったので、どんな困難があっても、地域のためにがんばろうという気になった」と話しています。
同社長の声を紹介した藤野氏は「住宅再建の支援は、単に個人の再建支援というだけではなく、被災地全体の復興に直結している」として、国として支援金の増額に踏み出すよう迫りました。
藤野 全国32の都道府県で、国の制度に上乗せ・横出しする支援制度を設けている。実際に背中を押された方がたくさんいる。
河野太郎防災担当相 見舞金という性格を持っている支援金で住宅を再取得することはできない。きちんと災害に備えた保険にはいってもらう。
藤野 とんでもない答弁だ。2007年の改正被災者生活再建支援法の付帯決議には、「(住宅再建は)地域社会の迅速な復興のために極めて重要」としている。
安倍晋三首相 生活を再建することは地域が成り立つ上でも重要だ。
藤野 住宅再建は、単に個人レベルの問題ではない。地域社会全体の問題だ。
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心に寄り添え
さらに藤野氏は、政府が「過去の災害との公平性」を理由に支援金の拡充を渋る姿勢を追及しました。
藤野氏は、被災者の切実な声と国民世論が制度の創設と改善に道を開いてきたことを指摘。東日本大震災の被災者も「自分たちが味わった苦しみを他の人たちにも絶対味わわせたくない」「私たちの経験を生かして、少しでもよくなってほしい」と述べていることを示して、次のようにただしました。
藤野 当事者が「よくしてくれ」と言っている。増額の方向に行くのが応える道ではないか。
首相 多くのみなさんは増えてよかったと思うかもしれない。政府としては、公平性という観点を忘れてはならない。
藤野 財源なら税金の使い方を変えればいい。国民は復興特別税を負担しているが、企業は1年前倒しで払わなくてよくなった。
さらに藤野氏は、被災者生活再建支援法が確立される以前に発生した2000年の鳥取県西部地震では、片山善博知事(当時)が300万円の住宅再建支援を県の独自策として決定し、「住宅再建を発表したアナウンスメントが、被災者にとって最大のメンタルケアになった」(2002年、6月の衆院災害特)と述べていることを紹介。「首相が『被災者の心に寄り添う』というのであれば、一番の不安のもとになっている住宅再建支援を決断することが被災者にとって『最大のメンタルケア』になる」と述べました。
藤野氏は「『過去の被災者との公平性』や『見舞金』だからというのは、いずれも理由にならないことが明らかになった。首相が『できることはすべてやる』というなら、今こそ被災者生活再建支援法の上限引き上げに踏み出すべきだ」と強調しました。