2016年5月14日(土)
大分 罹災証明の申請急増
別府・由布 観光客半減 行政支援を
「全壊や半壊の件数が基準に達しなかった」として、国が災害救助法の適用をしなかった大分県。しかし別府・由布の両市では、建物修復など生活と生業再建への公的支援に必要な「罹災(りさい)証明」の申請が急増。観光業も大きな打撃をうけています。
急傾斜地の住宅地で住宅損壊、擁壁・石垣崩壊などの被害が集中する別府市では12日、罹災証明にかかわる相談件数が1800件を超え、申請件数が1224件になりました。由布市でも申請が854件にのぼり、さらに増える見込みです。
両市とも罹災証明の発行を急ぎたいとしますが、職員の不足などが足かせとなっています。「一部損壊なのか半壊なのかは行ってみないと分からない」のが実態で、担当者は「調査次第では『半壊』が増えることもあり得る」と話しました。
日本共産党別府市議団が5日から被害の集中する地域の約3500世帯へ配布した「被害調査アンケート」は12日までに97通の返信がありました。「住み続けられるのか見てほしい」「多額の修理費用は自費ではまかなえない」など行政の支援を求める切実な声が書き込まれています。
県が9日に発表した大型連休(4月29日〜5月8日)中の観光動向調査では、余震の続く由布院の宿泊施設、別府の観光施設などで客が半減。熊本県に近い九重町では宿泊客は2割に落ち込むなど大きな打撃になっています。県旅館ホテル生活衛生同業組合は夏季までの宿泊キャンセルは約20万泊と推計しています。
(丸小野一民)