2016年5月14日(土)
熊本地震 実情伝え支援求める 共産党議員団
熊本地震の復旧・復興のための2016年度補正予算案の審議が13日、衆参両院本会議で始まりました。日本共産党から真島省三衆院議員、仁比聡平参院議員がそれぞれ代表質問に立ちました。
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避難生活の改善を
真島氏 「仮設住宅建設も急務」
真島氏は、熊本地震の被災者の避難生活の改善、生活・生業(なりわい)の再建支援を求めました。
政府は4月15日に通知を出し、避難所の生活改善を求めていますが、1カ月たっても実現していません。
真島氏は、「(劣悪な生活環境の改善は)依然として喫緊の課題だ」と強調。被災地は梅雨を迎える中で「熱中症や感染症、食中毒の予防対策など、切実な要望が寄せられている」として、指定避難所以外で避難生活を続けている被災者の実情もつかんで支援を行うよう求めました。
安倍晋三首相は「被災者の方々の生活環境の改善をはじめ、迅速かつきめ細やかな支援を講じる」と答えました。
大量の仮設住宅建設も急務です。真島氏は、地域コミュニティーを重視して建設を急ぐよう要求。「木造仮設住宅は、プレハブに比べて費用が安く、断熱・防音に優れ、恒久住宅への転用も可能だ」として、県特産品の木材や畳を多用した木造の仮設住宅建設への支援を求めました。
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安倍氏は「『住み慣れた土地を離れたくない』という思いにも寄り添いながら、自治体による住まいの整備の取り組みを全面的に支援し、対応に万全を期す」と述べました。
真島氏は、被災者生活再建支援金の支給額を現行300万円から500万円に引き上げ、半壊も対象にするよう提案。一部損壊にも、耐震強化の助成制度や住宅リフォーム制度など現行制度の拡充で、住宅再建支援を行うよう求めました。
生業の再建をめぐっては、壊れた工場や店舗の再建と修繕、事業再開に必要な設備や商売道具の購入などへの「直接支援」を要求。失業給付の特例や、雇用調整助成金の大胆で機動的な活用など緊急の雇用対策を実行するよう求めました。
安倍首相は、被災者生活再建支援金の支給額の引き上げについて「過去の災害の被災者との公平性、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきだ」などと答弁。被災事業者への直接支援は「被害の状況を踏まえ検討していく」と述べました。
復興は国庫負担で
仁比氏 「深刻な状況の自治体も」
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仁比氏は、発災から1カ月たつ今なお、自主避難、車中泊など、すべての被災者の実情が把握されておらず、切実で深刻なニーズが埋もれかねない現状の打開を要求しました。
そのうえ、指定避難所の拠点化を理由に避難所減らしが進められれば、とくに高齢者や障害者、所得の少ない人など、災害弱者の困難は「震災関連死にもつながりかねない」と強調しました。
安倍首相は「被災自治体と一体となって、それぞれの避難所等のニーズを迅速かつ的確に把握し、それに応じたきめ細かな支援を行っていく」と述べました。
また、仁比氏は、益城町や西原村などで、いくつもの集落・地区がほぼ丸ごと全壊し、集団移転も検討されるなど「村の存亡にかかわる」(西原村長)事態に、被災自治体の財政負担を実質ゼロにすることを要求。「復旧復興は、全額国庫負担で行うことを早期に表明し、被災自治体が、被災者の生活再建と復興に全力をあげられるようにすべきだ」と迫りました。
安倍首相は、被害状況や復旧需要等の内容を「詳細に点検、精査したうえで、各自治体の財政状況に目配りしながら、手当ても含めてどのような対応が必要になるか検討する」と述べました。
農地、農業施設は甚大な被害を受けています。仁比氏は、自らの被災地訪問で「阿蘇のカルデラ盆地や、菊池市の中山間の棚田を訪ねて、どこまで続くのかと思われる地割れや深い亀裂に言葉を失った」と語りました。
そして、「被害の全容把握は、到底、自治体だけでできるものではない」と指摘。国が技術面の調査など、営農が一刻も早く再開できるよう、あらゆる支援を尽くすよう求めました。また、倒壊した畜舎などの解体撤去を含む復旧再建、JAのカントリーエレベーター復旧など「生産者と生産者団体の切実な要望に応える特別な支援が必要だ」と主張しました。
森山裕農林水産相は「麦の刈り入れ時を目前に控えているので、カントリーエレベーターの復旧は急がねばならない。共同利用施設の整備、被災施設の撤去費用、作付けの転換を行う際の支援についても早急に検討する」と答えました。