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2016年5月12日(木)

主張

沖縄核密約新文書

核再持ち込みの狙いを許さず

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 1969年の沖縄返還合意の際、当時のニクソン米大統領と佐藤栄作首相が結んだ沖縄への核兵器持ち込み密約(沖縄核密約)について、米国防総省の公式文書が初めてその存在を事実上認めたことが分かりました。沖縄核密約は、沖縄返還(72年)後も「緊急事態」には米軍が返還前と同様に、沖縄に核兵器を持ち込むことを認めています。外務省による「有識者委員会」報告書(2010年)では密約の有効性を否定していますが、米国防総省の文書は密約の内容を明記しており、米国が必要と判断すれば、沖縄に核兵器を再び持ち込む狙いを示す重大問題です。

米政府は今も有効と認識

 米国防総省の文書は、戦後の歴代国防長官の任期ごとの歴史を記したシリーズ文書の一つで、沖縄返還の時期を含むレアード国防長官の時代(69〜73年)を扱った文書(第7巻)です。昨年公開されました。同文書は、沖縄返還協定(71年)にかかわって「米国は(沖縄から)核兵器を撤去するが、危機の際にはそれらを再び持ち込む権利を維持した」と述べています。「危機」の際の沖縄への核兵器の再持ち込みは、米国の「権利」だという主張です。

 沖縄核密約はこれまで、沖縄返還交渉の佐藤首相の密使・若泉敬氏が著書で暴露したほか、佐藤首相が保管していた密約文書そのものが次男の佐藤信二元通産相の自宅で発見され、明白になっていました。

 密約はニクソン大統領と佐藤首相の「合意議事録」という形式になっており、大統領が「重大な緊急事態の際、米政府は日本政府との事前協議の上で、沖縄への核兵器の再持ち込みと通過の権利を必要とする。米政府は(日本側の)好意的回答を期待する」と求め、首相は「そのような事前協議が行われる場合は、遅滞なく(米側の)それらの必要を満たす」と答えています。米側は、緊急時の沖縄への核兵器の再持ち込みや通過を「権利」とし、日本政府は米側からの要求があれば直ちに「イエス」と回答するという約束です。

 沖縄核密約については、外務省による「有識者委員会」の報告書が、佐藤内閣の後継内閣を拘束する効力を持ったかどうかに疑問を示し、「必ずしも密約とは言えない」などと結論付けています。しかし、今回明らかになった米国防総省の文書は沖縄核密約の内容をはっきり指摘し、現在も有効であるという認識を示したものであり、そうした言い分は通用しません。

 沖縄核密約が、核兵器を再び持ち込む基地として「嘉手納、那覇、辺野古、ナイキ・ハーキュリーズ基地」を挙げ、「いつでも使用できる状態に維持」するとしていることも重大です。

新基地建設阻止の声広げ

 「辺野古」とは、日米両政府が現在、沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わり新基地建設を狙うキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部に接する辺野古弾薬庫です。新基地には弾薬搭載エリアの設置も狙われています。

 沖縄を再び米国の先制核攻撃の拠点にすることは許されません。日本政府は沖縄核密約の存在を認め、廃棄することが必要です。「核密約ノー」の大きな声を政府に突き付け、辺野古の新基地建設を阻止するたたかいを強めることが重要です。


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