2016年5月10日(火)
野党共闘を「野合」というが…
権力固執の公明こそ野合
山口代表演説で
公明党の山口那津男代表は大型連休中に、7月の参院選で議席獲得を狙う大阪、兵庫、福岡、愛知、埼玉、神奈川選挙区などをまわり街頭演説を行いました。演説で山口代表は、参院選1人区での野党共闘に関して「重要な政策で一致していないにもかかわらず連携をするというだけでは混乱の政治に陥れるだけ」と攻撃。「自衛隊を民進党は認めるのでしょう。共産党は最終的に否定するんでしょう」などと述べて、「選挙のための野合」と非難しています。(大阪・4月30日)
参院選1人区での野党共闘は、戦争法=安保法制の廃止を求める市民の「野党は共闘」の願いに応えたものです。
自衛隊に対する態度は、日本共産党と民進党などの野党との間に違いはあります。日本共産党は自衛隊について、将来国民合意で解消に向けた前進をはかるという政策をもっています。しかし、日本共産党の志位和夫委員長が4月14日の記者会見で「その考え方(自衛隊解消)をいまの野党共闘に持ち込んでいるわけではありません」とはっきりと表明している通りです。
野党は「安保法制廃止、立憲主義を取り戻す」という大義のもとに結束しており、「野合」呼ばわりは通用しません。
政府は憲法に従って政治を行わなければならないという立憲主義を取り戻す仕事は、あれこれの政策とは次元の異なる、国の土台を再建する仕事です。まともな民主政治の土台、まともな政策論争を行う土台を回復しようというもので、政策の違いをわきに置いても追求すべき、国民的大義がある仕事であることは明らかです。
集団的自衛権に
「野合」が問われているのは公明党の方です。
同党は2012年の総選挙前に機関紙「公明新聞」(12月3日付)で、自民党が集団的自衛権行使容認を公約していることに対し「公明党は『日本は海外で武力行使しない』というのが憲法9条の精神であり、『集団的自衛権の行使は自衛のための必要最小限度を超えるものであって認められない』という、従来からの政府解釈は妥当だと判断しています」と述べていました。
山口代表も13年の参院選挙中、テレビ番組で、集団的自衛権行使容認を自民党が決めた場合は「断固反対する」と表明。「自民党が国民から拒否される。連立が可能かどうか、しっかり相談する」とも語り、連立を解消するかどうかに関わる大問題であるとの認識を示していたはずです。(同年7月6日、BS朝日)
ところが14年1月24日に安倍晋三首相が施政方針演説で集団的自衛権行使容認に意欲を見せると、山口代表は「政策的な意見の違いだけで(連立)離脱は考えられない」(『産経』同25日付)と前言を翻し、結局同年7月1日、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」に賛成したのです。
集団的自衛権の行使容認に「断固反対」と言っておきながら、安倍政権が解釈改憲で認める方向を打ち出すと途端に“政策の違いで政権離脱はない”と権力にしがみついた公明党こそ「野合」のそしりを免れません。(前)