2016年5月7日(土)
避難所「集約」 困惑の声
熊本地震 環境改善を最優先に
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熊本地震で6日現在も168カ所の避難所に3683人が生活する熊本市で、8日から移転先となる18カ所の拠点避難所が開設されます。市の担当者は「集約のために追い出すようなことはしない」と説明しており、移転に悩む避難者からは「拠点避難所は遠くて不便」との声も相次いでいます。
北区の龍田体育館と武蔵塚武道場には冷暖房の設備がなく、担当の職員は「蒸し暑い季節になれば、快適さは保障できない」と語りました。南区のアクアドーム(総合屋内プール)は現在も避難所として使用され、間仕切りもマットもないロビーや廊下に250人以上が避難しています。
市の担当者は「プライバシー確保などの環境改善は急ピッチで進めていますが、8日までに整備が間に合わない可能性もあります。拠点避難所に重点を置くため、現在ある全ての避難所で環境改善を図ることは難しい」と説明しています。適温食の提供についても「週に1回程度、温かい食事を提供することは検討している」段階で、抜本的な改善の見通しはありません。
市は一部の学校や公民館で、8日までに拠点避難所へ移転するか自宅に戻るよう求めています。中央区の世安町公民館で85歳の姉とともに避難している女性(78)は「自宅が片付くまでは避難所に居させてほしかった。通院の関係で遠方の避難所に移転するのは難しいので、しばらく団地の空き部屋で生活することになる」と話しました。
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日本共産党の那須円市議は「現在ある避難所も含め、政府の指針に沿った環境改善に取り組むべきです。学校の再開に伴って避難所を閉鎖する場合も、身近な場所に移転先を確保するよう求めていきたい」と語ります。
市が避難者に実施した意向調査(5638人が回答)では、5072人が大型連休後も避難を続ける意向を示し、「帰宅する」との回答は212人にとどまりました。
東日本大震災を経験した宮城県災対連の鈴木新代表は「コミュニティーを考慮せずに避難所の集約を進めれば、自治会の機能が発揮されず、高齢者が孤立しかねません。全ての避難所の環境改善と仮設住宅の建設は最優先課題ではないか」と指摘しています。 (丹田智之)
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