2016年5月4日(水)
熊本地震 続く余震 出口見えぬ不安
益城町の被災者 地元の仲間いるのが救い
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熊本・大分で相次ぐ地震で出口の見えない避難生活に、避難者の顔には疲れと不安の色が濃くなっています。3日、大雨が降る中、熊本県益城町の避難所を回りました。
町内の巨大な産業展示場、グランメッセ熊本。地震直後から多くの人が避難しました。約2200台が止められる駐車場があります。現在も24時間体制で支援物資などを配る町のスタッフによると、「夜には駐車場の半数ほどが埋まり、車中やテントで避難生活をしている」といいます。
「仕事も始まっているが、もう家には住めない」。同町に住む男性(39)はテントを張り、家族・親戚10人で避難生活を続けています。「避難所よりはまだいい。これだけ長いと、周りといろいろな問題が出てくるでしょ」といいます。
仕事や子どものことを考え、近くで住むところを探していますが、当面はテントで暮らすといいます。
町内にある2階建ての総合体育館には、今も約1500人が避難しています。廊下に、段ボールでできた簡易ベッドが並びます。中には50センチほどの仕切りがあるものもあります。武道場では床に直接マットを敷いて寝ています。
自衛隊による仮設風呂やボランティアの炊き出しも行われています。長引く生活で住民からは、仮設トイレ、蒸し暑さ、洗濯など、避難所の環境についての要求が多く聞こえてきました。
54歳の男性は、「この事態だから、ぜいたくなことは言えないけど」と言いながらも、「よく眠るためにもプライバシーを守れるようなカーテンやついたてがあったらいいと思う」といいます。
66歳の女性は、大雨による湿度の高さが体にこたえます。「コンセントがないから扇風機も使えない。これから夏に向かうのに、大丈夫だろうか」と不安をもらします。入り口近くの簡易ベッドに座っていた女性(83)も「しばらく変なセキが出て体調が悪かった。ベッドができてからよく眠れて良くなったけど、これから暑くなったら疲れが出るかもしれない」と不安そうです。
奥のほうで新聞を読んでいた女性(48)は「食事をもらうために並ぶのは慣れた。洗濯できないのが一番つらいけれど、これも慣れるしかないのかな」とつぶやきました。
1階が満杯になったため、2階に身を寄せている人もいます。女性(81)は、「足が不自由なのだけど、仮設のトイレが1階にしかなくて大変」と言います。
ベッドで体を休めていた女性(83)は、避難所の不便も口にしますが「それよりも不安がある」とこぼします。「ここには、カラオケ会や老人会、デイサービスなどの地元の仲間がいる。こんなときだから、離ればなれになってしまうのは寂しい」
(桑野白馬、齋藤和紀、藤田淳史、前田智也)