2016年4月30日(土)
なお過半数校に避難児童
福島原発事故4年 県内の小中調査
福島県の教育機関や福島大学がつくる「教育復興を進める会」が、福島の全公立小中学校に聞いた結果、県内の過半数の303校(避難していない540校の56・1%)に、避難指示区域などから避難している児童生徒が在籍していました。東京電力福島第1原発事故への対応はなお同県全域の学校の課題になっていることがわかりました。
避難している児童生徒が在籍している学校は、2011年に70・6%、12年に64・3%でした。減少傾向が続いているとはいえ、事故後4年たった15年でもなお県内の半分以上の学校に避難している子どもが通っています。
調査を担当した福島大学人間発達文化学類の朝賀俊彦教授は「避難している子どもの数は県全体の3%という結果です。しかしその数値だけでは、過半数の学校がその子どもたちをうけとめ、原発事故からの課題に向かっている現実は見えてこない」と指摘します。
教員の仕事量が増えた学校は、小学校60校(15・2%)、中学校が31校(16・4%)でした。増えた内容は、小中とも「児童生徒へのケア」がトップで、「保護者への対応」が続きます。
逆に減った内容は、「放射線への対応」「授業で屋外が使えないことへの対応」など。
放射線教育について、「非常に」または「多少」の難しさを感じているのは、小学校268校(67・3%)、中学校125校(65・4%)です。
75%前後だった1年前から減ってはいるものの、3校に2校が難しいと感じています。その内容でもっとも多かったのは「指導内容・方法の未確立」(47・9%)でした。
それについで多かった「保護者等との意識の違い」は、1年前の5・5%から今回17・4%へと大幅に増えています。
復興にむけて今後強化すべき教育内容は、小中とも「防災・安全教育」が目立って高く、小学校では健康教育、地域学習が続きます。
小中とも教員と教育予算の増加が条件整備の二大希望でした。
調査は「大震災後の福島県の教育復興を進める会」が毎年実施。今回は対象681校の86・8%にあたる584校が15年末までに回答しました。
(中村秀夫)