2016年4月30日(土)
仏 全国で50万人デモ
労働法改定案に抗議
「企業の自由にさせない」
【パリ=島崎桂】フランス全土で28日、政府が進める労働法改定案、通称「エルコムリ法案」に抗議するストと大規模デモが行われました。同様のデモは、3月以来4回目。全国で50万人(主催者発表。警察発表で17万人)に達したデモ参加者は、法案を主導する政府と仏経団連(MEDEF)を非難し、即時廃案を求めました。
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同法案は、解雇規制の緩和や、賃金・労働時間に関わる企業の裁量拡大を企図。5月3日に予定する仏国民議会(下院)での法案審議入りを前に、「法案撤回」で一致する7労組・学生団体は4月28日と5月1日(メーデー)の大規模行動を呼び掛けていました。
パリでのデモには、主催者発表で6万人が参加。街頭を埋め尽くしたデモ参加者らは、「私たちの将来を決めるのは、マティニョン館(首相官邸)でもエリゼ宮(大統領府)でもない。私たち自身だ」「(法案の)交渉も修正も認めない。撤回を」と唱和し、市内を行進しました。
大学生や高校生らも「私たちには、それ(法案)以上の価値がある」などと書かれたプラカードを手に、法案がもたらす「破壊的な変化」を糾弾しました。
パリのデモに参加した仏国鉄職員の女性は、同法案で「労働環境が企業経営者の自由になり、現在の労働規制は骨抜きになる」と懸念。「国鉄職員は年20日近くの休日が削減されることになる」と語りました。
パリのほか、全国200以上の都市でも数千〜1万人規模のデモが行われました。
そのうち一部の参加者が警官隊と衝突。警官3人が重傷を負ったほか、デモ参加者にも多数の負傷者、拘束者が出ました。