2016年4月29日(金)

乳児守る体制なし

認可外施設の男児死亡事故　山下議員が追及

参院内閣委　母親の手紙紹介

（写真）質問する山下芳生議員＝２８日、参院内閣委

　３月に乳児の死亡事故を起こした東京都内の事業所内保育施設（無認可）で、保育士資格もなく経験の浅い保育者が配置されるなど安全を確保する体制になっていなかったことが２８日、明らかになりました。日本共産党の山下芳生議員が同日の参院内閣委員会で取り上げたものです。

　事故が起きたのは、アルファコーポレーション（坂本秀美社長）が運営する東京都中央区のキッズスクウェア日本橋室町。亡くなったのは１歳２カ月の男児で、施設長の指示で窒息などの危険が高い、うつぶせ寝にされていました。担当は保育士資格のない非常勤職員で、他の作業をして異変に気付かず、人工呼吸をしたのも迎えに来た母親でした。

　山下氏の質問に厚労省は、「国の保育指針でうつぶせ寝は避けなければならず、事情がある場合でも呼吸を確認しなければならないが、なされていなかった」と認めました。

　山下氏は、同施設は２２人の乳幼児に有資格者は４人、１年３カ月の経験しかない人が施設長となり、他の３人も１～４年の経験しかないことを示し、「認可外施設基準は満たしているというが、専門的知識を持つ有資格者と経験が圧倒的に不足している」と指摘し、配置基準の見直しなどを求めました。

　また山下氏は、坂本社長が、内閣府の子ども子育て会議の委員であることにふれ、国や都の基準や指針が守られず、子どもの命が失われたことは重大だと強調。男児の母親が「規則や指針で安全を掲げても、現場の保育士たちが余裕をもって保育にあたれなければ実効性に乏しい。子どもを犠牲にしないでください」と訴える手紙を読み上げ、「待機児童緊急対策として子どもを詰め込むのではなく、保育基準の引き上げこそ政治の責任だ」と強調しました。

　加藤勝信担当相は、「資格があろうがなかろうが安全確保に努めることは当然」とのべるにとどまりました。