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2016年4月29日(金)

主張

戦争法施行1カ月

深刻な憲法破壊は放置できぬ

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 憲法9条を踏みにじり自衛隊が海外で武力行使する仕組みを幾重にも盛り込んだ戦争法(安保法制)が3月29日に施行されて1カ月です。安倍晋三政権は、国民の反対世論の高まりを恐れ、戦争法に基づく新たな任務を自衛隊部隊の実際の運用に追加するといった表立った動きは控えています。一方で、戦争法施行に必要な規則類や訓令・通達の整備、教育訓練などの具体化を進めています。日本社会が今、最も深刻な憲法破壊の事態に置かれているのは明らかです。戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻すことは焦眉の課題です。

「日本に武力攻撃の矛先」

 戦争法には、自衛隊が海外での武力行使に乗り出すため、▽「戦闘地域」での米軍などへの軍事支援(兵站(へいたん))の拡大▽戦乱が続いている地域での治安活動や「駆け付け警護」などの任務追加と武器使用基準の大幅緩和▽地球規模で米軍部隊や兵器などを防護するための武器使用▽集団的自衛権の行使―という四つの仕組みが盛り込まれています。いずれも戦争放棄、戦力不保持を定めた憲法9条をじゅうりんするものです。

 中でも集団的自衛権の行使は憲法違反の核心部分です。戦争法が可能にした集団的自衛権の行使とは、日本が直接、武力攻撃を受けていないのに、政府が「存立危機事態」と勝手に判断すれば、同盟国である米国などと戦争している第三国の攻撃を打ち破り排除するために、日本が武力を行使するというものです。米国がベトナム戦争やイラク戦争のような無法な先制攻撃の戦争を起こした際、日本が言われるままに集団的自衛権を発動して自衛隊を出動させ、米軍とともに武力を行使し、侵略国の仲間入りをする危険が現実のものとなっています。

 日本を武力攻撃していない国に日本の側から武力行使をすれば、相手国からは日本による事実上の先制攻撃とみなされます。

 国会審議でも、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏が「(集団的自衛権の行使は)進んで戦争に参加するということであり、敵となる相手国にわが国領土を攻撃する大義名分を与える」ことになり、「国民を守るというよりは、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」(昨年6月22日、衆院安保法制特別委員会)と警告したことからも明らかです。

 元内閣法制局長官の大森政輔氏も、日本が集団的自衛権を行使し、「第三国に武力攻撃の矛先を向けると…(その第三国は)わが国に対し攻撃の矛先を向けてくることは必定であり、集団的自衛権の抑止力以上に紛争に巻き込まれる危険を覚悟しなければならず、バラ色の局面到来は到底期待できない」(同年9月8日、参院安保法制特別委)と明言しています。

共同のたたかいをさらに

 国民の命と暮らしを守るどころか、重大な危険にさらすのが戦争法です。北朝鮮の核・ミサイル開発という暴挙を利用して「抑止力」になるなどという合理化論は成り立ちません。

 深刻な内戦が続いている南スーダンPKO(国連平和維持活動)での任務拡大の動きなど、自衛隊員が「殺し、殺される」危険も生まれています。2000万署名推進をはじめ「戦争法廃止、立憲主義取り戻せ」の共同のたたかいを一層広げていく時です。


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