2016年4月28日(木)
創業44年のラーメン店 営業再開へ懸命
“地元の活力になりたい”
熊本市中央区
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震度7の激しい揺れを2度観測した熊本地震。地域に親しまれてきた業者も甚大な被害を受けました。「地元の活力になりたい」と営業再開に向けて懸命です。
熊本市中央区で、創業44年のラーメン屋「龍虎(りゅうこ)」を営む男性(74)は、「うまかもん食べてもらいたいもんね」と歯を見せて笑います。地域の子どもたちからは、愛着をこめて「龍虎のおっちゃん」と呼ばれています。
16日に起きた2度目の激しい揺れで、地元に愛され、「創業以来、空にしたことはなかった」天然豚骨を煮込んでつくる龍虎のスープは途切れました。食器や酒類も床に散乱し、ガスと水道は断絶。店の倒壊は免れましたが、外壁が剥がれ落ちました。
「めちゃくちゃだ」。明け方に店の惨状を確認し、ショックを受けました。それでも、避難所の炊き出しで地元の人を支えました。「おやっさん、店は?」と何度も声をかけられたといいます。
龍虎が入る建物は築年数が長く、残存耐震性の調査はまだで、判定が不安です。「店を失いたくない。この場所、この店がいいんだ」「ここで死んでもよか」。地域に密着して商売を続けてきた牛島さんの人生がつまっています。
23日にガスが復旧し、再開へ向けて動き出しました。準備中でも「おやっさん、やってる?」と客がきます。
壊れた物を買い直すなど、再開にどれだけの資金を要するのか見通しは立ちません。「こういうところに国などからの支援がほしいね」。男性はぽつりとつぶやきました。
(砂川祐也)