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2016年4月28日(木)

きょうの潮流

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 白い帽子にマスク、裾の長いエプロンを着用し、黒い長靴をはいていました―。裁判官も検察官も弁護士も、完全防備の異様な光景。それがハンセン病の療養所で長く行われていた特別法廷でした▼入所者からは「被告をかなり離れた場所に座らせ、ごみ拾いなどに使う火ばさみで証拠物をつかんでいた」という証言も。裁判は事前の告知がなく傍聴も認められず、暗黒裁判のようだったと▼特別という名の差別。国の誤った強制隔離政策によって、1世紀近くも人間としての自由や権利を奪われてきたハンセン病患者。それは司法の場でも続けられ、隔離法廷は戦後の1948年から72年の間に95件も開かれました▼元患者らから調査を要請された最高裁は「社会の偏見や差別の助長につながった。患者の人格と尊厳を傷つけた」と謝罪。一方で、一定の公開性は保たれていたと、法の下の平等に反する違憲とは認めませんでした▼不治の病と誤解され、恐れられ、忌み嫌われたハンセン病患者。戦前、国の強制収容は全国に広がり、国力を損なう病として社会から隔絶されました。強い国づくりの裏で切り捨てられていった弱者の絶望。迫害の歴史をくり返すわけにはいきません▼「明日から人間として堂々と歩いていける。ようやく人間になりました」。国の隔離政策を違憲と認めた15年前の判決後に元患者が発した“人間回復宣言”。そのたたかいは家族をふくめ、今も続いています。差別や偏見のない社会をめざし、人間の尊厳を守るために。


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