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2016年4月27日(水)

主張

被災者の生活支援

「罹災証明」出せる体制急いで

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 記録的な地震に見舞われた熊本県内で、被災者が支援金などを受け取るのに不可欠な「罹(り)災(さい)証明書」の発行の遅れが問題になっています。被害が大きかった益城町と西原村、さらに阿蘇市では週明けまで受け付けさえ始まっていませんでした。被害が大きく、その後も連鎖的な地震の被害があり、自治体の職員が避難所の運営などにかかりきりになっているためです。証明書の発行が遅れれば、それだけ支援の実行も遅れます。国や県が応援の職員を派遣するなど、証明書が早く出せる体制づくりを急ぐべきです。

「遅滞なく」発行を

 「罹災証明書」は地震や風水害などの自然災害で住宅が大きな被害を受けた住民に、各市町村が発行を義務付けられている証明書です。被害割合が50%以上を「全壊」、40〜50%の「大規模半壊」、20〜40%は「半壊」などと認定します。証明書は、仮設住宅の入居申し込みや住宅の応急修理、被災者生活再建支援法にもとづく支援金の支給、全国から寄せられる義援金の配分、税金や保険料などの減免などに使われます。「罹災証明書」の発行は、被災者の生活再建にとって、文字通り不可欠です。

 「罹災証明書」による被害の認定は、災害の発生直後から行われている応急危険判定とは違います。危険判定は、専門の判定士が調査して、一軒一軒の建物に「危険」(赤)、「要注意」(黄)、「調査済」(青)の紙を張っていきます。例えば隣の家が倒れかかったような場合、「赤」が張られますが、住宅そのものに被害がなければ、被害判定では「全壊」にも「半壊」にもなりません。「赤」が張られ、あわてて解体したが、助成が受けられなかったケースもあります。被害が大きい住宅の場合は、さらに被災度区分判定もあります。

 被害認定にもとづく「罹災証明書」は、被災者の生活再建に直結するため、災害対策基本法でも「遅滞なく」発行することが求められています。実際、東日本大震災では、自治体そのものが大きな被害を受けたため証明書の発行が遅れ、支援金の支給や義援金の配分に支障が出たところがあります。今回の震災でも証明書の発行が遅れているのは、被害が大きく、自治体職員が被災者の救援などに手を取られているからです。政府や県が職員を派遣するなど、援助の手を差し伸べる責任は重大です。市町村任せではことは解決しません。

 被災した住民は自治体に証明書の交付を求めるとともに、「半壊」と認定されたが、被害が大きく「全壊」か「大規模半壊」にしてほしいなど、その内容に不満があるときは、再調査を要求することもできます。被災者の立場に立った、制度の活用が重要です。

支援制度の抜本改善を

 もちろん「罹災証明書」が発行され、支援制度を申請できても、現在の制度だけでは全く不十分です。「全壊」との認定で被災者生活再建支援法の支援金を申請しても、たかだか300万円では住宅の再建どころか解体費用で消えてしまいます。自治体独自で解体や再建の費用を支援するところもありますが、支援法を抜本改正し、被災者が暮らしを取り戻せるように充実させることが必要です。

 「罹災証明書」の発行を急ぎ、被災者の立場に立った対策を推進することが緊急に求められます。


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