2016年4月25日(月)
米欧版TPP抗議
独9万人デモ
オバマ氏訪問直前「民主主義・環境に危険」
【パリ=島崎桂】ドイツ北部ハノーバーで23日、欧州連合(EU)と米国が交渉を進める環大西洋貿易投資連携協定(TTIP、米欧版TPP)に抗議する大規模デモが行われ、約9万人(主催者発表)が参加しました。
世論支持低落も両国は推進姿勢
米国のオバマ大統領は24、25の両日、ドイツを訪問。メルケル独首相との会談では、TTIP交渉が主要議題になる見通しです。
労働組合や市民・環境団体からなるデモ隊は、「TTIPにストップ」と書かれた横断幕を先頭に市内を行進。「TTIPは民主主義への脅威」「環境・社会の基準が崩壊する」などと書かれたプラカードを手に、協定の危険性を告発しました。
TTIPにはTPPと同様に、投資家対国家紛争(ISD)条項が含まれており、各国の環境規制や安全基準を障害とみなす企業が訴訟を通じて規制の緩和、撤廃を求める権利が認められます。米国とEUは、年内の交渉妥結を目標に協議を続けていますが、TTIPへの支持は米独両国で低下し続けています。
英世論調査会社ユーゴブが行った調査によると、ドイツでTTIPに好意的な意見は、2年前の55%から17%に激減。米国でも53%から18%に低下しました。
ただ、米独両首脳はこうした世論に背を向け、TTIP推進の姿勢を維持しています。
オバマ氏は独紙ビルドのインタビューで、TTIPは「(経済)成長を促進し、雇用を生み出す最良の道の一つだ」と強調。メルケル氏もビデオメッセージを通じ、同協定は「ウィン・ウィン(相互に利益)の状況」を生むと語りました。