2016年4月24日(日)
温暖化ガス削減
国連で「パリ協定」署名式
史上最多 175カ国・機構
【ワシントン=洞口昇幸】昨年末の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された、2020年以降の地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」の署名式が22日、ニューヨークの国連本部で行われました。少なくとも175の国と欧州連合(EU)の代表者が署名し、初日の式典での署名数としては、国際協定史上最多となりました。
署名期間は2017年4月21日までの1年。同協定には、産業革命(1850年ごろ)前からの気温上昇幅を2度未満とし、1・5度未満に抑える努力をすることや、今世紀後半に温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることなどが盛り込まれています。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は開幕演説で集まった代表者の数について歓迎した上で、「われわれは時間とのたたかいの中にいる」と指摘。同協定の速やかな発効のため、すべての国が早急に批准するよう強く要請しました。
潘氏は、「むやみに消費する時代は終わった。経済の脱炭素化に取り組まなければならない」と強調。温暖化対策の取り組みは「重荷ではない」と述べ、貧困の根絶や環境関連の雇用創出、女性や子どもの生活改善など多くの利益があり、「持続可能な開発目標の達成のために欠かせない」と訴えました。
同式典日に、パリ協定を導いた気候変動枠組み条約の締約国・機構の9割近くが署名をしたことになります。同協定は、締結した全ての国に温室効果ガス削減目標の提出や5年ごとの見直し、目標達成に向けた国内対策の実施を義務付けています。
協定の発効には世界の温室効果ガス排出総量の55%と見積もられる、少なくとも55の締約国の批准、受諾、承認、あるいは加入が必要です。マーシャル諸島やモルディブ、モーリシャスなど、島しょ国を中心とする15カ国は22日、署名と併せ、批准書を事務総長に寄託しました。
排出量世界2位の米国からケリー国務長官が式典に出席。ケリー氏は地球温暖化の解決に向けて「今日はわれわれが自分自身に再び誓う日だ」と強調。年内に協定の国内手続きを終える意向をあらためて示し、すべての国に同様の行動をとることを呼びかけました。
排出量世界1位の中国の張高麗筆頭副首相は演説で、協定締結に必要な国内手続きについて、中国・杭州での9月の20カ国・地域(G20)首脳会議前に終える方針を明らかにしました。