2016年4月22日(金)
せめて間仕切りを
着替えはトイレ個室 床に毛布、体が痛い
避難所ストレス限界
熊本地震による避難生活の長期化が予想される中、被災者たちにとって不安な夜が続いています。就寝前の避難所を訪ねると、余震が起こるたびに「また来た」と動揺する子どもたちや体調を崩して医師に相談する高齢者の姿がありました。 (丹田智之)
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20日午後8時、熊本市東区の健軍小学校の体育館では約120人が食事をとるなどして過ごしていました。体育館の床にはゴザが敷かれているだけで、プライバシー保護のための間仕切りもありません。同じマンションの住民と話し合っていた男性(72)は「倒壊の危険性があると言われ、14日から避難しています。安全な場所にいられるだけありがたいが、毛布を敷いただけでは体が痛い。仮設住宅の建設を急いでほしい」と語ります。
精神的にまいる
同じく14日から避難している21歳の女性は「いつまで避難所での生活が続くのかと思うと、精神的にまいってしまう」と訴えます。18歳の妹には知的障害があり、安心させないとパニックを起こして自傷行為をすることがあるといいます。片手で妹の背中をさすりながら「トイレの個室で着替えるなど、不自由なことばかりです。共同生活だから不満は言えませんが、せめて囲いを作ってほしい」と話しました。
小型犬6匹連れ
午後9時半、自宅で飼っていた小型犬6匹を連れきた女性(63)が、避難所のスタッフに「段ボールと毛布をください」と声を掛けました。犬のそばを離れると吠えてまわりに迷惑をかけるので、前日まで車内で寝泊まりしていました。「避難所には犬が好きな人がいれば、嫌いな人もいる。エコノミークラス症候群にならないためにも体育館の中で寝たいですが、犬がいるので無理は言えません」と語り、渡り廊下に段ボールを敷いて横になりました。
避難所の責任者として被災者の体調を気遣う健軍校区第5町内自治会の城戸健次会長は「若いスタッフが頑張ってくれていますが、ストレスの限界が近づいています。夜中になるとせき込む人も多くなり、足音が気になって寝付けないと訴える人もいます。今のところ急病人は出ていませんが、今後が不安です」と話し、疲れた表情でパイプ椅子に腰掛けました。
午後10時、煌々(こうこう)と明かりがともる体育館から外に出ると、グラウンドには65台の車が止まっていました。そのうち十数台の車内には人の姿がありました。