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2016年4月22日(金)

主張

被災者の健康被害

避難生活で命を失う悲劇防げ

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 熊本県や大分県を中心に相次いでいる地震災害は、最初の激しい揺れの発生から1週間が過ぎ、避難を続ける被災者の健康被害が深刻となっています。長引く避難生活のなかで体調を崩し、命を落とす「震災関連死」も相次いでいます。痛ましい限りです。命を守るための避難生活だというのに、生活環境の激変と悪化によって命が奪われることなど、本来あってはならないはずです。これ以上悲劇を拡大しないために、国や自治体、関係機関は、被災者一人ひとりの健康と命を守るため、きめ細かな支援の仕組みを整えるなどの対策を早急に講ずべきです。

避難所でも「車中泊」でも

 熊本県を中心に繰り返される地震は終息のきざしがみえず、避難生活はきびしさをましています。

 大勢の人が身を寄せる避難先の体育館などでは、被災者の疲労は心身ともに限界にきています。毛布や段ボールが敷き詰められた床はあまりに手狭で、自由に体を伸ばすスペース確保も困難です。間仕切りもなく、話し声や足音が響き心も休まりません。舞い上がるほこりでせきをする人もいます。多くの被災者は不眠を訴えます。

 避難所では、すでに心不全で倒れ亡くなった女性がでたり、救急搬送される人が続出したりするなど事態は深刻です。トイレの汚れやごみ処理の遅れなど衛生面の悪化による感染症の発生・拡大も心配されます。劣悪な環境改善は待ったなしです。国や自治体はそれぞれの避難所の実態をつかみ、ボランティアの手も借りながら、被災者が少しでも落ちつけるようにすることが急務です。

 避難所が狭すぎるなどのため自家用車などで避難生活をする「車中泊」の被災者のなかで、長時間足を動かさないことなどによって血栓ができ発症するエコノミークラス症候群(肺塞栓症)が続発していることは深刻です。同症候群は、新潟県中越地震など過去の地震でも問題になりましたが、今回は「車中泊」の人が多いこともあり、医師から「非常に速いペース」と警鐘される異常事態です。

 体を動かすことや水分補給などの注意を促すことも大切ですが、一日中雨の日などは、車外に出るのもままなりません。自衛隊などが所有するテントの活用や、旅館、ホテルなど避難場所を確保することなど知恵と力を集め、ただちに具体化をはかることが必要です。

 震災前から治療中だった人や持病のある人などは、定期的な薬の服用や通院が不可欠なのに、中断し、症状が悪化しているケースもでています。医療体制はまだまだ不足しています。必要な医療が、きめ細かく被災者にゆきわたるよう、患者負担の免除・軽減などを含め国と自治体は、思い切った手だてをとるべきです。

休まる場所の確保が急務

 大規模な揺れに何度も見舞われながら、ようやくつないできた命が避難生活のなかで奪われることは、それこそ「人災」です。高齢者や障害者、幼い子どもや妊娠中の人などが困難に陥らないように特別の支援の仕組みづくりと体制整備が急がれます。健康だった人でさえ避難の疲労とストレスの蓄積によって急激に体調を崩す事態も多発するなか、被災者が少しでも安心できる施設や場所の確保などへ国、自治体、関係機関は全力をあげることが求められます。


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