2016年4月20日(水)
集団的自衛権・武器輸出
自衛隊制服組が提言
衆院委 宮本徹議員が追及
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自衛隊上級幹部の最高教育機関である統合幕僚学校が、憲法9条の制約から政府が従来認めてこなかった集団的自衛権の行使容認や武器輸出などについて、解禁するよう提言する報告書をまとめていたことが分かりました。日本共産党の宮本徹議員が19日の衆院財務金融委員会で、報告書を示して追及しました。
報告書名は「諸外国の最新の軍事戦略の動向に関する調査・研究」(2012年3月、全594ページ)。「将来の防衛諸計画策定の資とすることを目的」に作成されたものとされ、自衛隊トップの統合幕僚長にあげられています。防衛省が宮本議員へ提出しました。
報告書は、米国や中国など全7カ国の軍事動向に関する記述とあわせ、「国家レベルの処置が必要な事項」などと提言を列記。「米国の戦略…を補完できるようになるためには、集団的自衛権を認めることが必要不可欠」「『国家緊急事態法』を整備し、有事において、防衛省が他省庁等を活用して任務を遂行できる態勢を整えることが望まれる」などと、憲法解釈や法体系に踏み込んで軍事政策の変更を要求しています。
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宮本氏は、安倍政権が進めてきた「戦争できる国」づくりの裏に自衛隊制服組の要求がある可能性を指摘。「シビリアンコントロール(文民統制)からいって大問題だ」と文書の性格を追及しました。若宮健嗣防衛副大臣は「各研究員個人が独自かつ全く自由な立場で分析・論述したものだ」と釈明しました。
宮本氏は、報告書全体にわたって「国家レベルの対応」と「防衛省・自衛隊への提言」が区別して記述されていることをあげ、「(上からの)指示なしにはできない研究のまとめ方だ」と指摘。若宮氏が「当時の政務三役(大臣・副大臣・政務官)が直接関わっているということではない」と弁明したのに対し、宮本氏は「政治家が知らず、まさに制服組がやっていたことになる。こうした暴走は絶対に許されない」と強調しました。
統幕学校報告書の主な提言内容
○集団的自衛権の行使容認
○武器輸出禁止方針の見直し
○「国家緊急事態法」整備による他省庁・自治体の戦争動員
○原子力潜水艦の建造
○PKO参加による米軍戦力の節用
○公教育における安全保障観の周知徹底