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2016年4月13日(水)

第5回中央委員会総会

志位委員長の結語

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 第5回中央委員会総会(10〜11日)で志位和夫委員長が行った討論の結語は次のとおりです。


日本共産党の活動が、新しい段階に入っていることを示す、歴史的総会に

写真

(写真)結語を述べる志位和夫委員長=11日、党本部

 2日間の会議、お疲れさまでした。幹部会を代表して、討論の結語を行います。

 2日間で54人の同志が発言しました。すべての発言が幹部会報告の提起を正面から受け止め、豊かに深める発言だったと思います。

 全国の幹部会報告の視聴は1万1828人であり、中央委員会総会の視聴者数としては過去最高となりました。この中央委員会総会に対する注目と期待の大きさを示していると思います。全国から1千通を超える感想文が寄せられました。全体としてきわめて積極的な内容であります。

 幹部会報告では、現在の情勢を「戦後かつてない新しい歴史的局面」と特徴づけ、そのもとで「日本の戦後政治史でも初めての野党・市民の共闘」が前進しつつあることを明らかにし、「かつてない情勢のもとでの、かつてない挑戦」を成功させようと訴えました。全国からの感想文でも、「ワクワクする」「胸躍る気持ち」というたくさんの感想が寄せられているのが特徴であります。そして、討論でも、全国からの感想文でも、野党共闘の成功と日本共産党躍進への熱い決意が語られています。

 討論で重要な特徴だと感じたのは、定数複数区の都道府県からの大奮闘の発言とともに、定数1人区の県からもたくさんの発言が行われたということです。ある県委員長は、「私が、ここで立って発言していること自体が、情勢の発展を反映している」と率直に気持ちを語りました。討論では、野党共闘が実現した経験が次つぎと語られました。また、会議中も新たな野党統一候補が実現に向けて動いていることが次つぎと報告されました。苦労をしている現状も語られましたけれども、1人区で勝利を勝ち取ることが、これだけ現実の課題として中央委員会総会で語られたことは、かつてないことだと思います。

 都道府県委員長のみなさんの発言は、そのどれもが、それぞれの都道府県で、日本共産党を代表する政治家として、大義の旗を掲げて堂々と他党と交渉し、市民運動との心通う協力にとりくんでいる姿を語るものでありました。この討論全体を通じて、わが党が大きく成長しつつある姿が示されたと思います。

 こうして、この総会は、日本共産党の活動が、新しい情勢のもとで、新しい段階に入っていることを示す、まさに歴史的総会になったことを確認したいと思います。

野党・市民の共闘が進むなかで、情勢の激変が起こっている

 討論では、野党・市民の共闘が進むなかで、情勢の激変が起こっていることが生きいきと語られました。

 二つの変化が語られたと思います。

 第一は、国民全体のなかに起こっている変化です。「政治は変えられる」という希望が、これまでになく広範な人々から語られているということです。これまでは安倍政権の暴走に不安や批判を持ちつつも、なかなか展望が見えないという状況もありました。ところが野党共闘が動きだしたことで「政治に希望が戻った」「これで安倍政権を倒せる」という思いが広がっている。有権者の中に大規模な変化が起こり始めているということが、多くの発言で報告されました。

 第二は、国民と日本共産党との関係が大きく変わりつつあるということです。とくに、わが党が、野党共闘で果たしている役割に対して、「よく英断してくれた」「初めて共産党を好きになった」など、たくさんの激励が寄せられていることが報告されました。日本共産党に対するイメージが大きく変わりつつあると、言えるのではないでしょうか。これまでは「独善の党」、「力がない」という見方もありました。しかし、党の現実の方針と行動によって、こうした誤解や偏見が一挙に払拭(ふっしょく)されつつあるのではないでしょうか。

共闘の相手に対し、問題点はリアルに見ながら、固定的に見ない

 変化という点では、各地の努力のなかで、民進党など他の野党、連合(日本労働組合総連合会)などのなかからも変化が起こっていると報告されたことは重要であります。野党統一候補となった方が、ともにたたかうなかでさらに前向きに変化しつつあるとの報告が寄せられました。各地で連合の会長が、「野党共闘の効果は大きい」(出村良平連合北海道会長)と語るなど、野党共闘に対して肯定的な立場を表明しているとの報告も出されました。

 共闘の相手に対して、問題点はリアルに見ながら、また言うべきことは率直に言いながら、同時に、固定的に見ないことが大切であります。もともと今度の野党共闘というのは、昨年、戦争法案反対の国民的な大闘争が起こるなかで、市民・国民の声に背中を押されて、5野党が戦争法案反対で結束した。国民のたたかいが野党に変化をつくった。ここから始まっているわけです。いろいろな苦労もあると思いますが、共闘の相手に対して、固定的に見ない、市民・国民の世論と運動、私たちの働きかけいかんで変わることもありうる、こういう見地で見ることが大事だということを、私は強調しておきたいと思います。

 全国のみなさんが、4中総決定にそって、この7カ月間、たいへんな苦労をしながら、新しい画期的な情勢を切り開いてきたことに、お互いに深い確信を持とうではありませんか。いろいろと苦労をされていると思いますが、この苦労は“苦労しがいのある苦労”ではないでしょうか。発言を聞いておりましても、苦労しているといいながら、みなさん明るく語っておられますね。やはりこれは大義に立った苦労であり、未来をひらく苦労なのです。市民と力を合わせてここまで情勢を動かしてきたことを確信にして、それを必ず選挙の結果に実らせようではありませんか。

野党共闘と日本共産党躍進――この二つを一体的に推進できる広大な条件が

 幹部会報告では、野党共闘の成功、「比例を軸」にした日本共産党の躍進――この二つを大目標にすえ、この二つを一体にとりくむことを提起しました。

 討論を通じて、この二つを一体的に推進することができる広大な条件が広がっていることが生きいきと交流されました。

 野党統一候補が実現した宮城県からは、「『選挙区は桜井充、比例は日本共産党』と訴えていますが、これはどこまでも広がる。『共産党はよく決断してくれた』と感謝される。『比例は誠実にがんばっている共産党』となる。実際にやってみると本当にいい方針だと思う」という発言が、実感をこめて語られました。

 野党統一候補が実現した長野県からは、「戦争法廃止の『はがき署名』にとりくんできましたが、その返信に、『野党共闘ありがとう。礼儀として比例は共産党に入れます』というものがあった」という発言がされました。

 神奈川県の発言では、市民運動のみなさんから、「1人区で候補者をおろしたことは共産党の英断だ。感謝します。私たちの声を聞いて候補者を辞退してくれたのだから、代わりに私たちに何を期待しているのか言ってほしい」との声が寄せられたとの発言がありました。さきほど幹部会で田母神さん(県委員長)に「何と答えたのですか」と聞いたところ、「比例代表では共産党を支持してください。ただこれを(候補者一本化の)『条件』としているわけではありません」と的確に答えたそうであります。

 わが党は、参院選1人区の野党共闘にとりくむさいに、「安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復」という国民的大義の実現のために、野党共闘をまず前進の軌道に乗せるという大局に立って決断し、行動してきました。そういう決断に対し「日本共産党を応援したい」という気持ちが国民の中に広がっていることは、たいへんに重要なことですし、またうれしいことであります。

 野党共闘と日本共産党の躍進――この二つを一体に推進する広大な条件が生まれています。この条件をくみつくすたたかいを、やり抜こうではありませんか。

「比例を軸に」――真剣な自己検討と現状打開のための手だてを

 ここで強調しておきたいのは、「比例を軸に」ということの重要性についてであります。多くの同志が発言のなかでこの問題に言及しましたが、そのなかでも京都の渡辺和俊府委員長の発言はたいへん重要だと考えます。

 「京都での政治目標は、比例30万票で第1党、定数2の選挙区で大河原としたかさんの勝利をかちとることです。2013年の参院選、14年の総選挙では比例代表は20万票弱、これをどうしても1・5倍にする奮闘が必要です。3年前の倉林(明子)票は22万票でした。過去10年間を振り返ると27・5万票でも勝てなかったこともあります。文字通り比例30万票の日本共産党支持の大波をつくってこそ、初めて定数2でも勝つことができる。これを全党の決意にするために力をつくしています。この間の国政選挙で1000人の支持拡大をやったなら1500人に挑戦しよう。担い手を100人つくれたなら150人にしよう。これを基準に支部での討議を提起しています」

 この立場は、きわめて重要であります。「850万票以上、15%以上」という比例代表の得票目標、それを具体化したそれぞれの都道府県の目標を、本気でやりきる。そのためにやるべきことをやりきる。そういう構えに立っているかどうか。ぜひ5中総を受けて真剣な自己検討と現状打開のための手だてをとっていただきたいと思います。

 討論の中で、「野党共闘に力が向けられて比例が弱くなっている」、「野党共闘の様子見となって比例がすわっていない」などの率直な発言も出されました。現在も野党統一候補実現のために努力中の県も少なくありません。野党共闘の成功のためにわが党は誠実に力を尽くしますが、それが県ごとにどういう形になったとしても、日本共産党を比例で躍進させることの重要性にいささかも変わりはありません。この仕事は、野党統一候補の実現のための努力中であっても、同時並行で、今すぐ、本格的な前進の軌道に乗せなくてはならない課題です。どんな場合でも、野党共闘の成功と「比例を軸」にした日本共産党の躍進の二つを握って離さないことが大切であります。

 比例代表の目標に、いわば「魂」を入れて、必ずやり抜くという立場に立とうではありませんか。そうしてこそ、比例代表での躍進とともに、複数区での激しい党派間のつばぜり合い、しのぎを削るたたかいに競り勝って、勝利をかちとる土台を築くことができるということを強調したいと思います。

政党選択の構図――わが党にとって、こんなにたたかいやすい選挙はない

 政党選択という点でいいますと、いまの状況というのは、わが党にとって、これまでにないたたかいやすい構図になっていると思います。

 日本共産党にとって、これまでの最大の苦労は何だったかといえば、「二大政党の政権選択」論にありました。日本共産党ははなから選択肢から除外される。こういうなかで、私たちは苦労をしながら、前途をひらいてきました。

 しかし、かつてのこの構図は、いまやすっかりありません。日本共産党がたたかいの対決構図の一方の極のなかで、重要な役割を果たしています。それは政権・与党の側も、認めざるを得ない。そこにこそ現在の野党共闘が政権を脅かす最大の「脅威」があるということを、政権・与党の側も認めざるを得ない状況になっているわけです。

 ですから、こんなにたたかいやすい選挙はないのです。「比例を軸」に日本共産党への支持を広げにひろげる――これをすべての活動の中心にすえて、ここに「魂」を入れて、やり抜こうではありませんか。

いくつかの要望・質問にこたえて

 討論のなかで、いくつか要望・質問が出されました。

 「無所属の野党統一候補となった場合に、国民運動団体はどう対応すべきか」、という質問が出されました。野党統一候補となった場合には、無所属であれ、他党公認であれ、運動団体としてその候補を支持することはありうることだと思います。「安保法制(戦争法)廃止、立憲主義回復」という一点での支持は、その団体がそうした方針を掲げていれば、何の矛盾もありません。ただその場合であったとしても、団体の構成員一人ひとりの政党支持の自由、政治活動の自由を保障することは当然必要であります。

 同時に、幹部会報告でも強調したように、いまの情勢で重要となるのは、日本共産党の後援会活動です。「比例は共産党」と訴えることができるのは、日本共産党後援会です。ですから、地域・職場・学園の単位後援会とともに、分野ごとの後援会活動を思い切って発展させることがいよいよ重要であるということも、あわせて強調しておきたいと思います。

 それから、綱領と規約を掲載した日本共産党紹介パンフレットを作製してはどうかという提案がありました。いまあるパンフレットは、「入党のよびかけ」が冒頭にあり、綱領・規約を掲載しているものであります。ただ、もっと広く綱領・規約を知ってもらいたいという意味あいの提案だと思いますので、要望に応える方向で検討したいと思います。

中央の新しい指導体制――広く国民から信頼されるよう、全力で職責を果たす

 この総会は、中央の新しい指導体制について決定を行いました。

 山下芳生同志は、健康上の理由から書記局長の任を解き、副委員長として活動することになりました。山下同志は2014年1月の第26回党大会で書記局長に選出されて以来、党内外でその職責を立派に果たしてきました。ただ、書記局長の激務のなかで、たいへんな摂生に努めてこられましたが、慢性腎臓病が悪化し、医師の意見もふまえて、相談のうえ、これ以上無理をお願いすることはできないと判断いたしました。たいへん残念なことですが、書記局長の任を解き、負担を軽減するならば、副委員長、国会議員としての活動は可能であるということが医師の判断であります。私は、山下同志のこれまでの大奮闘に心からの敬意と感謝を述べるとともに、健康の維持・回復を優先させながら、長い目で将来を考え、ひきつづき活躍されることを心から期待するものです。

 後任の新書記局長には、小池晃同志が選出されました。小池同志は、副委員長、政策委員会責任者として、その実力は試されずみの同志であります。新書記局長として大活躍していただけるものと確信しております。

 書記局長の交代という機会に、若い、新しい同志を指導部に抜てきすることをあわせて行いました。歴史的政治戦が目前です。そういうたたかいに臨むうえで、指導体制の面でも最良の攻勢的な人事を行う必要があると考えて、一連の人事を行いました。

 田村智子同志が新しく副委員長に選出されました。田村同志の実力もすでに国会活動などで試されずみであります。女性の国会議員の幹部が党指導部の一員に加わることは、指導部での女性の比率を高めるという当然の要請からしても、党の将来を展望してもきわめて重要だと考えました。田村智子同志の大活躍をみんなで期待したいと思います。

 常任幹部会として、小池同志の後任の政策委員会責任者に藤野保史同志をあてることを決定しました。藤野同志は、中央委員会政策委員会の一員として、各分野の政策立案に実際に携わり、また国会でも新人ながら力を発揮してきた同志であります。さらに政策委員会には、畠山和也同志、宮本徹同志を副責任者として抜てきしました。藤野同志、畠山同志、宮本同志は、3人とも40代の若い、働き盛りの同志であり、ベテランのみなさんとも協力しあって政策委員会をひっぱる大活躍をしていただきたいと期待しております。

 なお、すでに発表しているように、市田忠義副委員長は、ひきつづき参議院議員として活躍していただくため、比例代表名簿に加えることにいたしました。新しい情勢の展開のなかで、国会議員団の構成にベテランの力、練達の力がどうしても必要であると判断いたしました。市田副委員長を含む比例代表予定候補――「ベスト9」を全員そろって国会に押し上げるために、「全国は一つ」でがんばりぬこうではありませんか。

 今回の参議院選挙は、戦後かつてない新しい歴史的局面での、日本の命運がかかった歴史的政治戦になります。新しく選出された指導部が、この歴史的政治戦で、広く国民と全党から信頼され、その職責を果たせるよう、一体となって奮闘する決意を表明するものであります。

到達点をリアルに見て、活動を飛躍的な前進の軌道に乗せよう

 中央役員のみなさん。

 5中総は、参議院選挙勝利・躍進のための政治的意思統一という点でも、新しい指導体制の選出という点でも、大きな成功と成果をおさめました。

 参議院選挙の投票日まで3カ月です。勝利・躍進の可能性を現実のものにできるかどうか。これからの一日一日のたたかいにかかっています。

 歴史的な5中総決定を、一刻を争って全党員のものにしようではありませんか。

 幹部会報告では、「やるべきことを、やるべき期日までにやりきって」こそ、勝利と躍進の道が開かれると訴えました。たとえば政党ポスター「力あわせ、未来ひらく。」は、「4月中に一気に張り出す」ことを訴えています。期日を「4月中」と提起しております。対話と支持拡大では、「4・5月で得票目標を上回る対話と支持拡大を必ずやりとげ、天井知らずに広げる」ことを呼びかけています。これも得票目標を超える期日を「4・5月」と提起しております。選挙は、期日の決まったたたかいです。勝つためには、決めた期日までに、やるべきことを断固としてやりぬかなければなりません。

 この点で、私たちの活動の到達点をリアルに見れば、率直にいって、これまでの活動の規模とテンポでは、勝利と躍進の保障はありません。到達点をお互いに冷厳に見て、私たちの活動を、この5中総を跳躍台として、飛躍的な前進の軌道に乗せることが、どうしてもいま必要であります。

 「やるべきことを、やるべき期日までにやりきって」こそ、勝利と躍進の道が開かれる。そのために、指導的立場にある私たち中央役員が断固たる決意を固め、「支部が主役」で断固たる手だてを取りきることを、私は心から訴えたいと思います。

 全党が一つに力をあわせ、広範な市民・国民と共同して、参議院選挙で必ず勝利・躍進をつかもうではありませんか。ともにがんばりぬく決意を固めあって、討論の結語といたします。がんばりましょう。


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