2016年4月2日(土)
きょうの潮流
戦後政治家の暴言録をまとめたノンフィクション作家の保阪正康さんによると、暴言や失言の類いは六つのパターンに分けられるそうです▼(1)歴史解釈にふれる発言(2)女性蔑視、性差別発言(3)倫理観にふれる発言(4)事実に反する虚偽の発言(5)無知丸出しの発言(6)イデオロギー対立からくる罵倒発言。さらに、小泉内閣のあたりから新たに「激情タイプの非社会的発言」を付け加えています▼政治家がこうした発言をくり返す時代に入ったということは、社会もバランスを欠いていることを裏付ける。暴言や失言の表面化はある意味、国民の間で学問的知識や社会常識を確認する機会にもなるのではないか、と▼自民党の暴言がやみません。「保育園落ちた」のブログを「落書き」といった山田宏・参院比例予定候補。多くの待機児童をつくった行政の責任を棚上げ、「産んだあなたの責任はどうなのか」と、保育園に入れず悩み苦しんでいる親たちに攻撃の矛先を向けました▼「巫女(みこ)のくせに」とは大西英男衆院議員。補選の応援に入った際、巫女から自民党は好きじゃないといわれ、先の発言に。札幌の同党市議は、戦争法廃止を求める意見書に賛成した共産党議員に「精神鑑定を受けた方がいいんじゃないのか」とやじを飛ばしました▼権力をかさに着て民意を軽んじる安倍政権で相次ぐ暴言。緩みやおごりだけでなく、そこには政治家にとって致命的な人権感覚の欠如や品性の卑しさがあります。一議員の問題にとどまらない劣化する政党の姿です。