2016年3月31日(木)
米軍武器防護 国際法上 根拠なし
宮本徹氏追及 政府、実例示せず
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日本共産党の宮本徹議員は30日の衆院外務委員会で、戦争法=安保法制で可能となった平時からの「米軍等武器等防護」に関し、米軍との武力行使の一体化の危険性を追及し、政府が根拠としてきた国際慣習法の問題点も明らかにしました。
南シナ海共同訓練や警戒監視でも運用可能な自衛隊法95条の2による「米軍等武器等防護」は、他国軍の武器装備品を守るための武器使用を認めています。政府は運用について「極めて受動的かつ限定的」「武器使用の5要件(相手が襲撃を中止し、逃走した場合には武器の使用はできない等)を全て満たす必要がある」と説明しています。
宮本氏は、元内閣法制局長官の宮崎礼壹氏が武器等防護について「『事前回避義務』と『事後追撃禁止』を米側も守らなければ、たちどころに(自衛隊による武器等防護は)憲法違反になる」と述べたことを強調し、「米側に説明しているのか」とただしました。
若宮健嗣防衛副大臣は「(5要件について)現在米側に説明しており、理解は得られると思っている」などと述べるだけで、宮崎氏の指摘については答弁できませんでした。
政府は米軍等武器等防護の国際法上の根拠として、イタリア・サンレモの国際人道法研究所の「交戦規定ハンドブック」が定める自衛権の一つ「ユニットセルフ・ディフェンス」を国際慣習法として挙げています。
宮本氏は、政府答弁書がユニットセルフ・ディフェンスについて「国際法上の概念として確立しているわけではない」と述べていることを指摘。「ユニットセルフ・ディフェンスと称して他国部隊を防護した実例を示してほしい」と追及したのに対し、岸田文雄外相は「各国の事情もあり実例の公表は控える」と述べ、実例を一つも示せませんでした。
宮本氏は「法的根拠自体が定まっていないものを国際慣習法として言い張るのはおかしい」と強調し、戦争法の廃止を求めました。