2016年3月30日(水)
16年度予算案への
田村智子議員の反対討論
日本共産党の田村智子議員が29日の参院本会議で行った2016年度予算案への反対討論(要旨)は以下の通りです。
反対の第1の理由は、消費税10%への増税を前提とし、破たんが明らかな「アベノミクス」にしがみついた予算だということです。
総理は、消費税8%増税のもとでの個人消費の落ち込みについて、「予想以上に大きく、予想以上に長引いている」と認めました。来年4月に再増税に踏み切れば、3年間で5%から10%への大増税です。国民1人あたり年間8万1000円、平均的な1世帯で18万4000円ものすさまじい負担増です。国民のくらしと日本経済を奈落に落とす10%への増税はきっぱり中止するしかありません。
「アベノミクス」の破綻もハッキリとしてきました。3年間で大企業の利益は確かに急増しました。ところがGDP(国内総生産)は、2014年度には年間でマイナス1・0%。2015年度も直近の10〜12月期には、年率換算で前期比マイナス1・1%に落ち込んでいます。しかも、肝心かなめの労働者の実質賃金は下がり続けているのです。
ところが予算案は、あいも変わらず法人税減税など大企業応援路線をひた走っています。安倍政権の経済路線の大転換を強く求めるものです。
第2の理由は、国民のくらしの願いに応えず、「格差と貧困」をさらに深刻にする予算となっていることです。
予算案審議では、保育所待機児童問題が大きな焦点となりました。私は、公的施設を利用するなど自治体の責任で緊急保育を確保すること、認可保育所増設のため国が新たな財政措置をとることなどを繰り返し求めました。しかし政府が示した緊急対策は、保育の質を保障するための保育士配置や保育室面積の自治体基準を緩和し、「今ある保育施設に子どもを詰め込め」と求めるものです。待機児童対策の根本的転換と強化を強く求めます。
高すぎる学費、奨学金という名の巨額の借金が、若者を追い詰めていますが、本予算案にこの問題を解決する姿勢はみられません。国民の強い要望である給付制奨学金の導入に応えず、国立大学運営費交付金、私立大学等経常費補助も据え置きです。日本共産党は、10年間で学費を半額にし、給付制奨学金を創設することなどを提案しました。この実現に全力を尽くす決意です。
「貧困と格差」は、社会保障切り捨て路線によって深刻さを増しています。すでに安倍内閣の3年間で、小泉内閣時をはるかに上回る社会保障予算自然増の圧縮が強行され、さらに強められようとしています。本予算案では、診療報酬の実質的なマイナス改定、高齢者医療の窓口負担増が盛り込まれ、マクロ経済スライドの改悪で年金をさらに削減する法案も提出されました。「格差と貧困」をさらに拡大し、個人の尊厳をないがしろにする政治をこれ以上続けさせるわけにはいきません。
本予算案がTPP(環太平洋連携協定)の発効を前提にしていることも重大です。TPP協定は国会決議違反であること、農林水産業への悪影響を過小に評価した政府の影響試算のでたらめさも審議のなかで明らかになりました。日本農業に壊滅的打撃をもたらし、食の安全、医療、雇用、保険・共済、政府調達、ISD条項など、あらゆる分野で日本の経済主権をアメリカに売り渡すTPPの批准阻止のため全力をあげるものです。
東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故から5年、被災者はなお多くの困難に直面しています。被災地支援策の打ち切り・縮小は絶対に許されません。原発再稼働を強引に推し進める一方で、除染と賠償の打ち切りに動くなど、「原発事故はもう終わった」と言わんばかりの政策を進めていることも、到底容認できません。被災者の生活と生業(なりわい)の再建に国が最後まで責任を果たすこと、原発再稼働をただちにやめることを強く求めます。
第3の理由は、安保法制=戦争法を強行成立させたもとで、5兆円を超える軍事費を盛り込み、アメリカの戦争支援体制を強化していることです。
本日3月29日、安倍内閣が日本国憲法9条を真っ向から踏みにじる安保法制を施行したことに強く抗議するものです。
本予算案には、新型ステルス戦闘機F35、新型空中給油、イージス艦、オスプレイ、無人機グローバルホークなどの軍備拡大を盛り込んでいます。これは米軍と一体となった自衛隊の海外派兵体制をすすめるものと言わなければなりません。
新たな日米協定にもとづき、「米軍思いやり予算」を増額し、米軍への提供施設整備に、何の積算根拠も示さずに最低でも毎年度206億円を支出するとしています。米軍が配備をすすめるF35戦闘機のアジア地域での重整備拠点を置くための財政負担まで行おうとしています。対米従属きわまる予算案を認めることはできません。
沖縄県民の民意を無視して強行してきた、名護市辺野古への米軍新基地建設の中止を断固要求するものです。
いま、戦争法廃止と立憲主義の回復を求める声は、深く力強いうねりとなっています。原発再稼働反対、TPP協定撤回、雇用破壊許すな、社会保障の拡充など、国民のくらしの現実から湧き上がる声は、安倍自公政権の暴走ノーの世論に発展しつつあります。
日本共産党は、この声に応え、国民との共同、野党共同をさらにすすめ、安倍政治に代わる新しい政治の扉を開くため全力をつくす決意を述べ討論を終わります。