2016年3月27日(日)
きょうの潮流
この頃、血圧が高くて…。先輩の記者が心配していました。腎臓の数値も気になるようで、体重も増えていたとか。肥満、高血圧、腎臓の機能低下。その悪循環をどう断ち切るかと▼悪循環といえばアベノミクスのどん詰まりが深刻です。大企業や富裕層が富めば、それが全体に滴り落ちるトリクルダウン政策。結果はどうでしょう。大企業が空前の利益をあげ金持ちはさらに富んでも、いっこうに回ってきません▼消費税の増税もしかり。2年前、8%に引き上げてから消費はずっとマイナスのまま。リーマン・ショック以上の落ち込みといわれています。増税は福祉や少子高齢化のためといいながら、あらゆる社会保障の削減が続いています▼安倍首相は来年4月に予定している10%への引き上げの延期を検討しているといいます。世界経済の悪化を口にし、有識者からの進言を受けた格好ですが、破綻したアベノミクスと失政の責任はごまかしようがありません▼「経済の減速と不平等の拡大はコインの裏表の関係にある」。首相に増税見送りを求めたノーベル賞学者のスティグリッツ米コロンビア大教授の言です。彼は自著で格差の氷山をつくった経済システムを今こそ転換する機会だと訴えています▼公平な税制、完全雇用や賃金の引き上げ、保育の充実や働く女性を支えるルールづくり。そして民主主義の不平等をただす。世界的な経済学者の改革は、今の日本にもつながります。経済の悪循環は、政治が打つ手を変えれば断ち切れます。