2016年3月26日(土)
論戦ハイライト
戦争法下 民間動員許されぬ
参院予算委 仁比議員が追及
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25日の参院予算委員会で、戦争法下で進む民間船舶の動員体制の実態を突き付けた日本共産党の仁比聡平議員。質問の冒頭、「太平洋戦争で多数の犠牲者を出した痛苦の反省にたってつくられた憲法9条の下で民間船員の戦争動員が認められるはずがない」と力を込めました。
民間船舶を危険地域への輸送に活用
仁比氏は、陸上自衛隊のパンフレットには、有事の際、先遣部隊に続く3次展開の「増援部隊」として、民間フェリーが描かれていると指摘。実際に、民間フェリー2隻の優先確保で民間事業会社と契約締結していることも明らかにし、次のようにただしました。
仁比 民間フェリーで、危険地域まで、砲弾や弾薬を運ぶということだ。
中谷元・防衛相 武力攻撃事態における運航に際しては、あらためて国と事業者で協議を行う仕組みだ。
危険地域への民間船舶による輸送まで認めた中谷防衛相。仁比氏は、これまで政府は自衛隊が行動する危険地域への輸送を民間業者に求めることはないと説明してきたにもかかわらず、今回は、平時からの契約という手法で、それを可能にしているとして、「極めて重大だ」と批判しました。
船員も予備自衛官にして動員
また、仁比氏は、民間事業会社との契約では、船舶の確保と有事の際の運航に必要な船員を予備自衛官として確保することを民間事業会社が「一元的に行う」とされていることも指摘。そのため、民間船員の予備自衛官補への「志願」が事実上、「強制」される危険を告発しました。
仁比 「一元的に」というのは、船員を含めて事業者に用意させるということだ。
防衛相 予備自衛官、または予備自衛官補になることを希望する方を採用していただくことを期待している。
仁比氏は「(大型船舶の運航は)チームワークなのだから、自分が志願しなければ他の船員仲間が志願しなければならなくなる。耐えがたい二者択一を強いることになる」と“徴用”の実態を突き付けました。
存立危機事態での活用も
さらに、民間事業会社との契約では、「在日米軍の輸送役務」も対象に含まれています。仁比氏は、日米新ガイドライン(軍事協力の指針)では、米軍への兵站支援に「民間が有する能力を適切に活用する」と明記されていると指摘。民間船舶が米軍の戦争支援にも活用される危険を告発しました。
仁比 重要影響事態や存立危機事態における米軍の人員、物資の輸送を(民間船舶が)するのか。
防衛相 その事態は排除できない。
仁比氏は、契約で確保する民間フェリーは、米軍の高速輸送船と同型艦だとも指摘。イラン・イラク戦争では、民間船舶への攻撃が現実に起き、船舶19隻が被弾し、4人が死亡、負傷者19人を出したことをあげ、「民間船員に二度とこうした犠牲を起こしてはならない」と強調しました。
安倍晋三首相は「民間事業者に運航してもらう以上、安全の確保が大前提」というだけで、まともに答えられませんでした。