2016年3月24日(木)
外務省も「一体化」論批判
井上氏が指摘
参院外防委
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日本共産党の井上哲士議員は22日の参院外交防衛委員会で、歴代政府が海外での武力行使の“歯止め”にしてきた「武力行使との一体化」論を取り上げました。
政府は、海外での武力行使が他国の武力行使と一体となる場合も憲法上禁じられるとしてきました。井上氏は、外務省の「安全保障法制研究会」の議事録(2004年)に、「後方支援」の一般法を策定する場合、「国際法の観点から武力行使との一体化論をできるだけ亡きものにしていけるよう検討を進めていく必要がある」と明記していることを指摘。戦争法=安保法制で米軍などへの後方支援が大幅に拡大することになっており、「外務省として(一体化論を)『亡きものにする』という立場で政府内で働きかけてきたのでは」と追及しました。岸田文雄外相は「研究会で示された見解は政府の考え方と一切関係ない」とごまかしました。
井上氏は、政府が「憲法上、武力行使の一体化の問題があり得る」としてきた米軍への情報提供について、情報共有システムCEC(共同交戦能力)を2015年度予算で海上自衛隊のイージス艦に搭載する問題を追及しました。
CECは、軍事情報を米軍と共有し、米軍が射撃指揮に使用することも可能になります。中谷元・防衛相は、「一般的な情報交換の一環であり、憲法上の問題は生じない」と答弁。井上氏は、石破茂防衛庁長官(当時)が02年に、CECは既存のシステムより精度が高く「質的な差という概念が生じる」とした答弁を示し、「攻撃に使えるほど精度の高いCECでの情報提供は『一般的な情報交換の範囲』を超える。一体化論そのものを亡きものにし、制約なく海外で武力行使できるようにする狙いがある」と強調しました。