2016年3月23日(水)
きょうの潮流
キューバはクラシックカーの宝庫です。首都ハバナの街中を行き交う自動車は、今も1950年代のアメリカ車が中心。車好きにはたまらず、それを見に訪れる観光客も多いとか▼59年の革命後、キューバと米国は国交を断絶しました。長い間、敵対した米国の経済封鎖にあって工業製品が輸入できず、国内での自動車生産もかないませんでした。そのため、昔の車を修理しながら大事に使い続けてきたのです▼北海道と九州をあわせたほどの面積に1千万超の人びとが暮らすカリブ海の島国。現在もゆっくりと時が流れる生活はささやか。古い車や建物は物不足の一端ですが、独自の発展も遂げてきました▼国民が無料で受けられる医療もその一つ。人口比の医師の数や医療技術は世界でもトップクラス。海外にも医師を積極的に派遣し、その人道的な国際貢献は世界から注目されています。格差なき手厚い教育は高学力社会をつくり、防災対策は国連がモデルにするほど▼国民の命と財産を守ることに力を注いできた小国。かつて自国が激しく敵視したその地を、88年ぶりに米大統領が訪れています。両国からは過去を乗り越え、友好な関係を築いていきたいという意気込みが伝わってきます▼昨年7月の国交回復から米国人観光客も急増。米ホテルチェーンがさっそくハバナに乗り出すと。時代とともに大きく変動していく世界。みずからの価値観や間違った歴史観にこだわり、近隣諸国とも仲良くできないような国は取り残されていくだけか。