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2016年3月23日(水)

主張

プロ野球金銭授受

賭博の火種一掃を球界一丸で

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 野球賭博で揺れるプロ野球界で、試合の勝ち負けなどでも現金やりとりをしていたことが新たに明らかになり、金銭に甘い体質があらためて批判を浴びています。

「験担ぎ」では済まない

 スポーツでは試合前に円陣を組み、士気を高めるために「声出し」をするのは、自然で見慣れた光景です。ところがプロ野球では、その場面を「験(げん)担ぎ」と称し、「声出し」した選手に勝った場合は「ご祝儀」として現金が渡されていたといいます。これまでの調べでは、12球団中、巨人、阪神、広島、西武、楽天、ソフトバンク、ロッテの7球団で行われていました。現金やりとりの方法、金額はさまざまです。1試合に1人が1万円を出したケースや、1日で約6万〜8万円を手にした選手もいたといいます。

 金銭授受は「声出し」ばかりではありません。少なくない球団が、試合前のノック練習で「モチベーション(意欲)を高める」との理由でミスした選手から「罰金」を徴収し、それでためたお金を食事会や慰労会などに使ったと説明しています。

 スポーツの試合で、チームや選手たちが幸運を呼びこみ集中力を高めるため、試合会場に行くのにいつもの道を変えないなど、験担ぎをするのはよくある行為です。しかし、試合が始まれば自らのプレーに全力を尽くし、結果を真摯(しんし)に受け入れるのがスポーツの世界です。好プレーもあればミスも生まれますが、すべてが次のステップへの貴重な糧となるものです。

 それを金銭の対象にすること自体、スポーツの世界では厳しく戒められていることです。野球の試合の結果やプレーに金が絡むことが日常的におこなわれていれば、チームや選手の向上意欲は「金次第」となり、そのモラルの低下を引き起こし、さらには意図的な敗退行為(八百長)を呼び込む賭博の火種になりかねないからです。

 金銭授受が常態化すれば「日本プロフェッショナル野球協約」が禁止している賭博行為や不正行為などに抵触しかねない深刻な問題につながることは明らかです。

 野球賭博問題の調査に関連してようやく表沙汰になったのは、プロ球界全体が絶えず野球の文化的な発展を担っているとの自覚が不十分で、金銭で物事を片づける体質に浸っていたからと指摘せざるを得ません。問題の底に根深さを感じます。

 それだけに、日本野球機構と球団および選手会が一丸となり徹底的に自己点検し、組織をあげてこうした金銭授受の体質から抜け出す努力が求められています。

ファンの信頼回復のため

 開幕を控え、全球団は「声出し」での金銭授受は禁止することにしていますが、全容解明はこれからです。その努力を実らせる上では、野球協約にプロ野球の使命と選手の規範を鮮明に打ち出し、社会的な役割を明確にしていくことも検討すべき課題でしょう。

 日本共産党は「プロスポーツ選手は職業的、専門的なスポーツマンであり、自覚的にスポーツ文化の遺産を受け継ぎ、新たな発展をきりひらく存在」という立場です。プロ野球がスポーツ文化として高く評価され、ファンの信頼を回復するために、関係者が本腰を入れてこの課題に立ち向かうことが期待されます。


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