2016年3月19日(土)
きょうの潮流
赤ら顔の目をこするサルの写真がネットのニュースで流れていました。目のかゆみ、鼻水、くしゃみ。人間の花粉症と同じ症状にサルたちも悩まされているとか▼写真を見ていると、なんだかこちらまで…。つらい時期がつづきます。今年は昨年よりスギ花粉の飛散量が増えている地域が多く、東京ではまだ予想の半分程度。記者も油断していたせいか、いつもより症状が重い▼いまや3人に1人がかかり、国民病ともいわれる花粉症。存在が発表されて、すでに半世紀がたちますが、いまだに増えています。とくに若年層の発症が顕著で全員が患者の家族も。医療費をはじめ、マスクやメガネといった出費も大変です▼なぜ、こんなにも蔓延(まんえん)してきたのか。日本は国土の約7割が森林。その山々がスギに覆われたのは戦後から。復興が進む中で大量の木材を確保するために林野庁がとった「拡大造林」政策。それが元凶です▼天然林を次々に伐採した後に成長の早いスギやヒノキの植林を奨励。ところがその後、政府の木材輸入自由化によって安い外国材がどんどん入り、植林事業は失敗。放置されたまま、花粉を多くつける樹齢30年以上のスギ林が増加したのです。(『花粉症は環境問題である』)▼いわば国家による公害。昨日の国会でも花粉症対策が取り上げられました。伐採や、花粉の少ない樹種を植えると答えた安倍首相。しかし、全力でとりくむとは口ばかり。あとは野となれ、山となれの失政に苦しめられている「私だ」は、ここにも。