2016年3月17日(木)
きょうの潮流
北朝鮮を脱出した脱北者のうち、韓国入りした人の数が昨年末で2万8795人に達しました。最近、ソウルで会った男性は2009年に北朝鮮を出たといいます▼金日成(キムイルソン)、金正日(キムジョンイル)、金正恩(キムジョンウン)と3代にわたる絶対的権力の世襲が続く北朝鮮。この脱北者は「私は北朝鮮を出た後も金正日の時代までは、それでも希望を持っていた」と言います▼2000年2月、朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は、「人民がいまだトウモロコシの飯を食べていることに最も胸が痛む。いま私が行うべきことは、この世で一番立派なわが人民に白米を食べさせ、パンやめん類を十分に食べさせること」という金正日総書記(当時)の談話を掲載したことがあります▼4回目の核実験後、北朝鮮国営メディアは「核戦争抑止力に基づいて経済建設と人民生活向上の突破口を開く確固たる保証がもたらされた」と報じています。しかし、実際にもたらされたものは、かつてない厳しい経済制裁を科す国連安保理決議です▼韓国の北韓資源研究所は最近、経済制裁が全面的に履行されれば、北朝鮮の経済成長率は今年から4%以上マイナスになり、多くの失業者が出るとの推計を発表しました▼北朝鮮国営メディアは15日、金正恩第1書記が、「近いうちに」核弾頭発射実験と弾道ミサイル発射実験を行うよう指示したと報じました。男性脱北者の一言を思い出します。「核開発と経済建設を同時に進める『並進路線』と言いますが、経済は散々です。一番の被害者は北朝鮮の住民ですよ」