2016年3月16日(水)
宇宙開発 民生圧迫する軍事経費
スパイ衛星に6000億円 17年間
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日本の宇宙開発の民生部門が軍事に圧迫されています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の決算に占める情報収集衛星(軍事スパイ衛星)の開発経費の合計額が、開発を始めた1998年度から2014年度までの17年間に5917億円に達していることが分かりました。同期間のJAXAの決算合計額約4兆円の14・8%に当たります。
情報収集衛星の経費が膨らむ一方、民生経費は98年度の2378億円から14年度には1740億円へと急減しています。情報収集衛星の経費によって、気象衛星や宇宙探査衛星の経費が圧迫されている形です。
本紙の取材に対し、JAXAが答えました。JAXA発足以前の98〜03年度は、前身の旧宇宙3機関(宇宙開発事業団、航空宇宙技術研究所、宇宙科学研究所)の決算です。
情報収集衛星は、政府直属の情報機関である内閣情報調査室・内閣衛星情報センターで運用されています。衛星が取得した情報は特定秘密とされ、非公開です。開発費は内閣官房からJAXAに委託され、収入としてJAXA予算に計上。第2宇宙技術部門が開発に当たっています。15年度までの情報収集衛星予算は全体で約1・1兆円。16年度予算案も619億円を計上しています。
安倍晋三政権が昨年12月に策定した第3次宇宙基本計画工程表は、情報収集衛星を現在の4機体制から10機整備体制へと拡充するとしています。民生部門がさらに圧迫される恐れがあります。