2016年3月15日(火)
保育所確保 緊急に
参院予算委で田村智子氏 国の支援・解雇防止など提案
保育所の待機児童問題
日本共産党の田村智子議員は14日の参院予算委員会で、「保育園落ちた」という匿名ブログを機に改めて社会問題となっている待機児童問題を取り上げました。田村氏は緊急対策を提案するとともに、父母が求めている認可保育所の抜本増設と保育士の処遇改善に向けて、保育予算を抜本的に拡充するよう求めました。(論戦ハイライト)
首相「研究していく」
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田村氏は、東京都だけで2万人を超える「保育難民」が生まれていることを指摘。「非常事態という認識で緊急対策を実施すべきだ」と述べ、(1)公共施設を活用して自治体の責務で緊急の保育を実施する(2)公立保育所の分園設置や改修に緊急の財政支援を行う(3)企業による雇い止めや解雇の防止―を提案しました。
田村氏が、東京都の杉並区や世田谷区では一昨年、公的施設を活用した保育室や仮設園舎などで受け入れ枠を拡大したことを示すと、安倍晋三首相は「指摘のあった、さまざまなアイデアについては研究していきたい」と答えました。
田村氏は、政府が待機児童の数を正確に把握し、保育所増設・保育士の処遇改善に踏み出すよう要求。希望に合わない保育所を保護者側が断った場合、待機児童から外しているのは問題だと田村氏が指摘すると、塩崎恭久厚労相は「厚労省の待機児童の定義に基づいたものだ」と正当化しました。
田村氏が、全産業の平均年収より166万円も低い保育士の平均年収(323万円)の引き上げは急務だとして「大幅賃上げの目標を示すべきだ」と求めると、首相は「(保育士は)専門性と、経験が重要だ」と答弁。塩崎厚労相は、先送りしている2%の賃上げ(400億円)に向け「最優先で取り組んでいかなければならない」と答えただけにとどまりました。
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田村氏は、公立保育所が保育士の専門性と経験を高める役割を果たしてきたにもかかわらず、政府が「コストがかかりすぎる」と民営化・民間委託を促進してきたと批判。EU(欧州連合)では国内総生産比1%を保育・幼児教育へ充てることを目標としていることを示し、「すべての子どもの福祉のために大幅な予算増を行うべきだ」と強調しました。
都内認可保育所 2万人超入れず
認可保育所に申し込んだものの入れなかった乳幼児が、東京都内だけで2万人を超えることが14日の参院予算委員会で明らかになりました。日本共産党の田村智子議員と党都議団が都内の全自治体を対象に問い合わせた結果、入所できなかった不承諾数として判明したもの。都内62自治体のうち、14区30市町村から回答がありました。田村氏は回答のなかった自治体を含めると2万6000人に達するとみられると述べ、緊急対策を求めました。