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2016年3月11日(金)

フランス 学生・労働者50万人デモ

雇用不安定化に反対

解雇規制緩和などの法案撤回迫る

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 【パリ=島崎桂】フランス全土で9日、同国政府が進める労働法「改革」に抗議するストや大規模デモが行われました。高校生を含む学生や労働者50万人以上(主催者発表)が参加。「雇用の不安定化に反対」「未来は破壊させない」と声を上げ、法案撤回を迫りました。


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(写真)仏政府が進める労働法「改革」に抗議する高校生=9日、パリ(島崎桂撮影)

 エルコムリ労働相が起草した通称「エルコムリ法案」は、経済的理由による整理解雇の要件緩和を企図。裁判所で「不当解雇」と認められた場合に企業が支払う補償金には上限を設定します。また、各企業の労使協定を法律より優先する措置を盛り込んでおり、現在では違法な長時間労働や低賃金が常態化する恐れもあります。

 パリでのデモには、主催者発表で10万人、警察発表で2万9000人が参加。「法案は交渉の余地なし」「私たちにはそれ(=法案)以上の価値がある」などと書かれたプラカードを手に、「失業と不安定雇用しか生まない企業はもうたくさん」「法案撤回までたたかい続ける」と唱和しました。

 大学生のコリーヌ・デュフレーヌさん(22)は、「若い人の雇用はもう不安定化している。既に働いてる人やこれから働く人の将来を、政府や経営者の自由にはさせない」と語りました。

 デモ参加者の多くは同日、自らの職場でストを実施。パリや南部マルセイユでは、学生らが一部の高校、大学を封鎖しました。公共交通機関もストに入り、仏国鉄(SNCF)では約3割の鉄道便が運行を停止しました。

 抗議行動はパリのほか、各都市で数千〜数万人規模に達しました。

 エルコムリ労働相は同法案の成立により企業の将来予測を安定させ、正規雇用を増やせると主張。オランド仏大統領も「若者に、より安定した雇用を提供する」と訴えていますが、世論調査では約7割の青年が法案撤回を求めています。

 パリの中小企業で電気技師として働くクレマン・ムラジェさん(25)は、「解雇規制の緩和でなぜ雇用が安定するんだ。政府はただ、経営者の都合による不法な解雇や賃下げを合法化したいだけだ」と語気を強めました。

 今回の行動を呼び掛けたのは、全国学生連合や全国高校生連合など複数の学生団体です。これに、同国2大労組の労働総同盟(CGT)と労働者の力派(FO)を含む7労組が賛同、参加を表明。共産主義青年運動(JC)などの青年団体や左派政党も加わりました。

 同法案に対しては、これまでに120万人分を超える反対署名が集まっていますが、政府は今月中に法案を議会提出する見通しです。ただ、与党・社会党内でも根強い反対意見があり、採決の行方は予断を許しません。

 学生団体は今月17日にも抗議行動を予定。労組は同31日のストを呼び掛けています。


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