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2016年3月9日(水)

砂川事件再審を棄却

東京地裁 最高裁長官の米側接触は認定

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(写真)記者会見で砂川事件再審請求の棄却決定に抗議する請求人の土屋源太郎さん(右から2人目)ら=8日、東京都内

 米軍駐留の合憲性をめぐって争われた1957年の砂川事件で有罪が確定した元被告らの再審請求について、東京地裁刑事10部(田辺三保子裁判長)は8日、棄却を決定しました。元被告らは同日、「砂川事件最高裁判決を集団的自衛権の根拠とする政府に迎合した不当な決定だ」とする抗議声明を出し、即時抗告して東京高裁で争う方針を発表しました。

 砂川事件をめぐっては、国際問題研究者の新原昭治氏が2008年4月、当時の田中耕太郎最高裁長官(裁判長)が被害者の立場にある駐日米国大使らと密議を繰り返し、裁判の経過や最高裁へ跳躍上告するなどの見通しを伝えていたとの米機密公電を発見。元被告らは14年6月、これらを新証拠として、砂川判決は憲法の保障する「公平な裁判所」によるものではなかったとして再審を申し立てていました。

 地裁の決定書は、田中長官が米大使館関係者と面会し、裁判情報を提供していたとの機密公電の内容を大筋で事実だと認めました。一方、裁判所の代表が「慣例上」部外者と交際することも認められているなどとして、「直ちに不公平な裁判をするおそれが生ずるとは解しえない」と正当化しました。

 記者会見で、元被告の土屋源太郎さん(81)は今回の棄却について、「裁判の公正と司法の正義を(司法が)自らの手で放棄した」と厳しく批判。安倍政権が集団的自衛権容認の憲法上の根拠とする砂川判決を、戦争法の施行直前に司法が追認したとして、「非常に政治的な決定だ」とも指摘しました。

 武内更一弁護士は「公平な裁判だったかどうか、本論に入ったことには大きな意義がある」と述べ、田中長官の当時の言動について審理がなされた点は評価しました。

 元被告の武藤軍一郎さん(81)は「日本の司法の独立を一人でも多くの人に訴えていきたい」とし、同じく椎野徳蔵さん(84)は「良心・体力のあるかぎり、声をあげ続けたい」とたたかい続ける決意を語りました。


 砂川事件 旧米軍立川基地(東京都)の拡張反対運動で、学生らが基地内に立ち入って起訴された事件(1957年)。一審で東京地裁は米軍駐留を憲法9条違反として全員無罪としました(伊達判決)。しかし、跳躍上告で最高裁大法廷(田中耕太郎裁判長)は59年、一審を破棄(砂川判決)。地裁へ差し戻し、61年に有罪が確定しました。


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