2016年3月5日(土)
辺野古埋め立て工事中止
代執行訴訟 県・国が和解
政権の強硬路線 破綻鮮明
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地をめぐり、同県の翁長雄志知事が昨年10月、辺野古の埋め立て承認を取り消したことを不服として国が県を訴えた裁判(代執行訴訟)で、政府は4日、新基地工事の中断などを盛り込んだ「暫定的和解案」(別項1)を受け入れ、県と国の和解が成立しました。 (関連記事1) (関連記事2) (関連記事3)
安倍晋三首相は同日、中谷元・防衛相に工事中止を指示。県も国の対応を不服として起こした2件の訴訟を取り下げます。今後は福岡高裁那覇支部が示した和解条項(別項2)に基づき、双方の協議が展開する見通しです。
日米両政府は辺野古新基地に固執し続けており、県側も新基地阻止の姿勢を堅持しています。和解による協議が成立しない場合は、再び訴訟になりますが、裁判終了までは工事が中止されます。新基地反対の県民世論を無視した強行路線の破綻は鮮明です。
政府は当初、和解には否定的な姿勢を示していました。しかし、福岡高裁那覇支部の和解勧告文は「今回、国が勝っても今後も延々と法廷闘争が続く可能性がある。それらで勝ち続ける保証はない」と指摘。さらに、新基地の設計変更承認をめぐる訴訟などでは「知事の広範な裁量が認められて敗訴する可能性が高い」と述べました。日米安保関連で国側有利の判断を下す傾向が強い日本の司法で、異例の言及です。
安倍首相は和解に応じる一方で「辺野古移設が(普天間基地問題の)唯一の選択肢である」と述べ、新基地建設に固執する姿勢をあらためて示しました。
一方、菅義偉官房長官は「2022年度またはその後」とした普天間基地の返還時期について、「遅れる可能性がないといえばうそになる」と述べました。「辺野古移設」条件に固執する限り、普天間基地が「固定化」することを政府自身が認めたものであり、重大です。
暫定的和解案(別項1)
(1)国は県への訴訟と不服審査請求を取り下げ、埋め立て工事をただちに中止する
(2)国と県は円満解決に向けた協議を行う
(3)訴訟となった場合国と県は判決に従う
和解条項(別項2)
(1)国は、地方自治法に基づき埋め立て承認取り消しの是正を指示。県は、不服があれば、国地方係争処理委に審査を申し出る
(2)委員会が申し出を却下した場合、県は是正指示の取り消し訴訟を提起
(3)円満解決に向けた協議を行う