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2016年3月1日(火)

テロとどう向き合うか

平和がイスラムの教え

インドネシア 国家テロ対策庁反過激主義計画担当責任者 イルファン・イドリス氏に聞く

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 東南アジアのインドネシアは、イスラム教徒が世界で最も多く暮らす国です。2000年代に入ってからイスラム教を名乗る過激組織によるテロがたびたび発生。首都ジャカルタで今年1月に起きたテロは、過激組織ISとのつながりが指摘され、周辺諸国への拡散も懸念されています。インドネシアの「国家テロ対策庁」で反過激主義計画をすすめる担当責任者のイルファン・イドリス氏(49)に対策を聞きました。(ジャカルタ=松本眞志 写真も)


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 インドネシアでは2010年9月に、「国家テロ対策庁」が設立されました。多くの国では、対テロ部門は内務省に属していますが、国家テロ対策庁は大統領直轄の機関です。この機関は(1)テロ防止(2)対テロ関係の法の執行(3)テロ撲滅のための諸外国との協力・共同―を主要任務としており、国家警察長官直属の対テロ特殊部隊とは区別されています。

 現在、私が担当している反過激主義計画は、過激主義者として収監された人々に対し、社会復帰を果たすために収監施設内で再教育や更生支援を行い、釈放後の就職支援を行うというものです。過激主義者が生まれる背景には、イスラム教に対する正しい知識の欠如と失業などの貧困問題があります。

“調和”が本質

 過激主義者は、欧州や米国など西側諸国の人々を敵と見なしていますが、コーラン(イスラム教の聖典)やイスラム法はそのようなことは言っていません。コーランは、すべての人類の信念や宗教を守ることを教えています。

 過激主義者が「神は“イスラム国”の建設をすすめている」というならば、それはうそだと言いたい。イスラムの教えは本来、誰がどの宗教を信仰するのかを問題視していません。人々がどのようにして安全に、そして平和に調和のある生活ができるのかということに価値を求めています。

 インドネシア全土には2万7000もの「プサントレン」と呼ばれるイスラム寄宿学校があります。われわれは、ここで学ぶ生徒たちを過激主義から守る必要があります。過激主義から彼らを守る努力を怠れば、容易に彼らが過激主義に走ります。そのすべてとはいいませんが、テロリストになる可能性もあります。

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他国との共同

 ISなどが正当化するテロとは、凶悪な犯罪であり、非人道的なものです。現在、それは広域化した国際的な犯罪となっています。私たちは、彼らの行動を抑えるために多くの国ぐにとの共同を強める必要があります。

 それは武力を行使するという意味ではありません。もちろん、武力攻撃を受けた場合、武力で応じる必要も出てくるでしょう。ですが、テロ問題は突き詰めて言えば思想の問題です。私たちは若い世代に特に焦点を当て、誤った思想には正しい考えを対置するということを重視していきたいと思っています。


インドネシアの主なテロ事件

2000年8月 ジャカルタのフィリピン公邸前で爆発。2人死亡、大使ら20人負傷

   12月 ジャカルタなどのキリスト教施設が襲撃され100人以上死傷

 02年10月 バリ島のディスコで爆発。日本人2人を含む200人以上死亡

 03年8月 ジャカルタの米資本ホテル前で爆発。12人死亡、約150人負傷

 04年9月 ジャカルタのオーストラリア大使館前で爆発。10人死亡

 05年10月 バリ島の三つの飲食店で同時自爆。日本人1人含む20人死亡

 09年7月 ジャカルタの二つの米資本ホテルで爆発。9人死亡、50人負傷

 16年1月 ジャカルタの繁華街で爆発・銃撃。カナダ人ら8人死亡、27人負傷


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