2016年2月29日(月)
“核戦力より国民生活に”
英のトライデント反対集会
更新26兆円 市民が反発
【パリ=島崎桂】英国各地で27日、同国唯一の核戦力である潜水艦発射型核ミサイル「トライデント」の廃絶を求めるデモや集会が行われました。英反核団体の核軍縮運動(CND)が呼び掛け、全国で約6万人(主催者発表)が参加。首都ロンドンでは市民や学生、労組に加え、政治、宗教、文化、芸能界から数万人が参加しました。
英政府は現在、トライデントの更新計画を進めており、今年中に議会採決が見込まれています。近年の緊縮政策で国民生活が悪化する中、2060年までに最大1670億ポンド(約26兆円)と試算される更新費用は、多くの市民の反発を受けています。
CNDは全国行動を呼び掛ける声明で、「トライデントは安全を保障するものではなく、(国民生活に関わる)不可欠な支出を妨げるものだ」と訴えました。
ロンドン中心部トラファルガー広場での集会で演説した最大野党・労働党のコービン党首は、「戦争の準備をしながら平和を達成することはできない」と強調しました。
労働党内は、トライデント更新をめぐる意見が一致していません。コービン氏は今回、党内一部議員の強い反対を押し切って集会参加を決めました。
トライデントが配備されている北部スコットランドのスタージョン自治政府首相も集会に参加。英メディアに対し、「議会採決が迫る中、市民が声を上げる機会を持つことは重要だ」と語りました。
今回の抗議行動には、14年に英国で最も権威のある音楽賞の一つ、マーキュリー賞を受賞したヒップホップ・グループ「ヤング・ファーザーズ」をはじめ、著名な俳優やコメディアン、服飾デザイナーらも参加したり、賛同の声を寄せたりしました。
日本原水協が賛同メッセージ
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は全国行動に賛同メッセージを送り、「国連はみなさんが集まるロンドンで第1回総会を開き、核兵器の廃絶を決めた。この20世紀がやり残した課題を、いまやり遂げるべきだ」と連帯を呼び掛けました。原水協は昨年、被爆者とともに英議会内で被爆の実態を証言し、核兵器廃絶への協力を求めていました。
このほか、米国やフランスなど各国の市民・反核団体も賛同を表明しました。