2016年2月28日(日)
きょうの潮流
景気後退期に入った1970年代初頭、日本は終戦直後につづく第2次ベビーブームを迎えます。71年からの4年間、出生数は毎年200万人を超えていました▼受験戦争、バブル崩壊、就職氷河期…。成長とともに困難な状況に直面してきた世代はいま格差社会の真っただ中にいます。出生数は半分になり、2015年国勢調査の速報値によると、約1世紀前からつづく調査で初めて日本の人口が減りました▼前回10年の調査から5年間で100万人近い減。39の道府県、全国市町村の8割以上で人口が減少しています。高齢化や若者離れで存続さえ危ぶまれる自治体が多い一方、総人口の4分の1以上を東京圏が占めています▼進む一極集中。地方では空き家が増加の一途をたどっているのに、都会では高層マンションが次々に建てられ、貴重な自然を壊して宅地が造成されています。詰め込みすぎで具合が悪くなるほどの通勤ラッシュも変わらぬままです▼調査をもとにした衆院小選挙区の1票の格差は最大2・33倍に。最高裁が違憲判断の目安とする2倍を上回る選挙区は37にも上ります。産業や医療、保育所や特養ホームの待機者をはじめ、地域や社会の格差は生活の至るところで▼結婚や子育てを望んでも、不安定な雇用や共働きであきらめざるを得ない現状が横たわっています。「1億総活躍社会」を掲げながら、あらゆる分野で格差と貧困を押しひろげ、希望を失わせている今の政権。そのもとでは、もはやベビーブームも夢物語か。