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2016年2月25日(木)

主張

高浜原発再稼働

国民の不安まだ踏みにじるか

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 福井県高浜町にある高浜原発について、関西電力が1月の3号機に続いて4号機も26日に再稼働させようとしています。それに加え、原子力規制委員会が運転開始から40年を経過した1、2号機についても再稼働の前提となる審査書案をまとめました。老朽炉では初めてです。原発事故に不安を募らせ、再稼働に反対している住民の気持ちを逆なでする危険な暴走です。東日本大震災から5年になる東京電力福島第1原発の重大事故はいまだに収束せず、住民の避難生活も続いています。「原発ゼロ」を切望する国民多数の意向を無視した再稼働の強行は許されません。

「スケジュール第一」で

 高浜原発は、敦賀、美浜、大飯などの原発が集中する福井県と京都府との府県境に位置し、いったん事故が起きれば京都府や滋賀県にも被害を及ぼす危険な原発です。活断層などによる地震の対策や津波対策も不十分で、いくつもの原発が同時に事故を起こす集中立地による危険性は検討対象にさえなっていません。安倍晋三政権や関西電力、3、4号機の再稼働に同意した福井県や高浜町は原子力規制委の審査に合格したことを根拠にしていますが、規制委の審査が安全性を保証するものでないことは、当の規制委自体が繰り返し表明していることです。

 実際、3、4号機については、福井地裁が昨年4月、規制委の「基準は緩やかにすぎ(る)」と再稼働を差し止めたため、規制委が審査に適格すると決めた後も再稼働できず、関西電力が異議を申し立て、昨年末仮処分を撤回させてようやく再稼働に持ち込めたものです。3号機は1月末再稼働させましたが、4号機は再稼働直前になって準備中に冷却水漏れが発覚、弁を修理しただけで、予定通り再稼働させることになりました。林幹雄経済産業相でさえ、「スケジュールありきではなく安全第一で」といわざるを得ない状態です。

 東京電力福島原発の事故後、長期にわたって全国の原発が停止していても電力不足は起きていません。にもかかわらず、もともと原発への依存度が高かった関西電力は、原発停止中の火力発電所などの燃料費負担などを免れるため、再稼働を急いでいます。高浜原発再稼働は、文字通り、関西電力のスケジュールに合わせたものです。

 全国の原発では九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)がすでに再稼働していますが、高浜原発3、4号機は使用済み核燃料を再処理して取り出す猛毒のプルトニウムをウランと混ぜて燃やす「プルサーマル」炉での最初の再稼働です。プルサーマルは制御が難しいといわれます。政府や電力会社がプルサーマルに熱心なのは使用済み核燃料がたまりすぎ、再処理で取り出すプルトニウムの処分を迫られているからです。高浜原発の再稼働に道理がないのは、この点からも明らかです。

老朽炉の再稼働は断念を

 安倍政権や関西電力が、老朽化した高浜原発1、2号機まで再稼働させようとしているのはまさに言語道断というほかありません。実際に再稼働させるには老朽化対策などの審査が残っていますが、原子炉等規制法で「原則40年」となっている運転期間を超えて稼働させれば、事故の危険が格段に高まります。老朽炉まで再稼働させる策動はただちに断念すべきです。


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