2016年2月21日(日)
主張
相次ぐ暴言・不祥事
憲法・生活壊す安倍政治が元凶
安倍晋三政権の閣僚や自民党の国会議員の暴言や不祥事が後を絶ちません。安倍首相の盟友、甘利明前経済再生担当相が「口利き」によるあっせん利得の疑惑で辞任したのをはじめ、高市早苗総務相の憲法を踏みにじる放送介入発言、福島原発事故の被災者を傷つけ撤回に追い詰められた丸川珠代環境相の発言など、まさに次から次にというありさまです。女性問題で議員を辞職した宮崎謙介前衆院議員や、オバマ米大統領を中傷した丸山和也参院議員の発言などもあります。これほど相次ぐのは異常であり、安倍政権と安倍首相の責任はあいまいにできません。
資質やゆるみですまぬ
ことは閣僚や自民党議員の資質や緊張感の欠如などで済ますわけにはいかない問題です。甘利氏や高市氏など安倍首相に近い閣僚や政権の“目玉”に起用した閣僚から暴言や疑惑が相次いでいることも責任を浮き彫りにしています。
見過ごせない特徴の一つは、憲法を軽視し、憲法を破壊する安倍政権の特徴が、一連の発言から浮き出ていることです。憲法21条が保障する言論・表現の自由に反し、政府が一つ一つの放送番組までチェックし、放送法違反を持ち出して電波を止めさせる、「停波」処分で放送局を威嚇する高市氏の発言はその最たるものです。
高市氏には権力を振りかざし処分で脅す発言そのものが、言論・表現の自由を脅かしていることへの自覚がありません。安倍首相も高市氏を擁護しています。言論関係者や憲法学者が高市氏の発言を批判しているのは当然です。憲法解釈を一方的に変更し、戦争法で集団的自衛権の行使に道を開き、明文改憲の意向さえ隠さなくなった安倍政権の実態そのものです。
同時に一連の発言が、国民の痛みを知ろうともしないで悪政を推進する、安倍政権の姿勢を示していることも重大です。「1ミリシーベルトの基準は根拠がない」と原発事故の被災者を傷つけた丸川氏の発言はもちろん、消費税の10%への引き上げに関連して複数税率導入で「混乱はある程度起きる」と言い放った安倍政権の副総理、麻生太郎財務相の発言も、国民の不安や痛みを知らないものです。
安倍首相も経済運営の破綻をどれほど追及されても、「アベノミクス」の成果は出ていると“自画自賛”を繰り返し、貧困と格差の拡大で苦しむ国民生活の実態に目を向けようとしません。島尻安伊子沖縄・北方担当相が担当閣僚なのに「歯(はぼ)舞(まい)群島」が読めなかったり、高木毅復興担当相が自らの疑惑をどんなに追及されても閣僚ポストにしがみついたりしているのも、国民の利益を優先しない政権の姿勢を浮き彫りにしています。
政権に自浄能力がない
安倍政権の閣僚や自民党の国会議員による暴言などが後を絶たないなかで見過ごしにできないのは、政権の自浄能力のなさが事態に拍車をかけていることです。丸川氏や麻生氏も通り一遍の謝罪で事を済まそうとしていますが、甘利氏が自ら閣僚を辞任しただけであっせん利得の疑惑については解明しておらず、安倍首相も甘利氏任せを続けているのは、政権としての無責任さを象徴しています。
安倍首相と政権が自浄能力を欠く限り暴言や不祥事はなくなりません。国民の追及が安倍首相に向かうのはいよいよ免れません。