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2016年2月18日(木)

日本政府の努力欠如に批判

国連の女性差別撤廃委員会

委員指摘「直ちに是正を」

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 【ジュネーブ=玉田文子】国連の女性差別撤廃委員会は16日、日本政府の条約実施に関する第7、8回報告を審議し、取り組みの遅れを厳しく指摘しました。日本政府代表団(代表・杉山晋輔外務審議官)は、安倍政権の女性活躍促進などを強調しましたが、国内法に差別の定義規定がないことや民法改正の遅れなど、条約や勧告が実施されていない現状について、委員からは批判が相次ぎました。


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(写真)日本政府の報告を聞く女性差別撤廃委員会=16日、ジュネーブ国連欧州本部(玉田文子撮影)

市民社会の活動評価

 委員からは、法改正など部分的な前進を評価しつつも、差別をなくすための具体的な手だてがみえないなど、日本政府の取り組みの遅れに対して批判が集中。何より条約に従って国内法に差別の定義を盛り込むことや、包括的な差別禁止法をつくること、選択議定書の批准が必要であり、そうした努力の欠如が条約の推進を妨げていると指摘されました。

 日本政府は、憲法と男女共同参画社会基本法で男女平等や差別について規定されているという従来の回答に終始し、委員からは不満の声が上がりました。

 また、前回の審議でただちに是正すべきと勧告されていた夫婦同姓や女性のみに課せられている再婚禁止期間などの民法の差別的規定の廃止が実行されていないと指摘。

 政府は、「重く受け止めたい」としながらも最高裁の憲法判断にふれ、再婚禁止期間の短縮を実現、選択的夫婦別姓制度導入については「国民の意見が分かれており国民及び国会の議論を見守っている」と回答。前回同様委員から、「世論の動向に依拠するのではなく、条約違反として、政府がイニシアチブをとりただちに是正を」ときびしく指摘されました。

 また、委員から▽独立した国内人権機関の設立▽アイヌや性的少数者、移民女性など複合的差別を受けているマイノリティー女性への手だて▽一人親家庭、高齢者など女性の貧困対策▽女性への暴力防止策の強化▽間接差別を含む雇用における差別禁止の具体策▽選挙制度改革を含む政治参加引き上げの抜本策―などさまざまな問題があげられました。

 今回の審議でも、締約国として条約上の義務を実施するという政府の意志が大きく問われました。

 同委員会は、今回の審議を踏まえて3月はじめ、日本政府への勧告を盛り込んだ「総括所見」を発表します。

 日本からは、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の80人が審議を傍聴しました。条約の実施をすすめるために、委員会にリポート提出や提言などを行ってきました。

 委員たちからは繰り返し日本の市民社会の活動が評価され、審議においても、NGOからの情報が質問や提起に活用されました。

 閉会にあたり、議長は、日本には力強い市民社会が存在している、政府は連携してとりくみをと呼びかけました。


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