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2016年2月13日(土)

きょうの潮流

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 立春もすぎて、寒さ厳しきなかにも春の兆しを感じ始める頃です。光のまばゆさや木々の芽吹き。今週末には春一番も吹くとか▼無限とも思える時を刻み、めぐっていく季節。〈またたきて枯木の中の星は春〉(松本たかし)。古来、人びとは寒空を見上げては暗闇にきらめく星々に春のまたたきを見つけたのかもしれません▼何万年もの前から人類が自分の目で見続けてきた光の輝き。それが、変わることのない姿を示してきた宇宙でした。しかしガリレオが望遠鏡を向け、20世紀に入ってから電磁波による観測が進むと一変します▼永遠不変どころか、進化し、変動し、爆発さえ起こす。目で見えない宇宙は激動していました。ガリレオ以来の観測技術の革新―。それがもたらした重力波の初観測は、宇宙の正体に迫ってきた天文学に新たな窓を開きました。光や電波ではわからない姿をとらえることができるからです▼質量をもつ物体が動くとき、周りの時間と空間がゆがみ、それがさざ波のように伝わっていく。重力波の観測で宇宙の膨張やブラックホールなど、さまざまな天体現象を新たな観点で探れるように。100年前にアインシュタインが存在を予言しましたが、微弱なそれを見つけることは極めて難しいとされてきました▼深遠な宇宙の謎解きに、また一歩近づいたわれわれ人類。イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩句に物理学者が好む一節があります。「いま証明されていることも、かつては想像されたものにすぎなかった」


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