2016年2月8日(月)

ゆうＰＲＥＳＳ

街で見かけたデモ　飛び入りできる国が良い

ティーンズソウル　あいねさん

　安保法制（戦争法）の廃止、安倍政権の退陣を求めて、全国各地で若者が声をあげています。その一つが「Ｔ―ｎｓＳＯＷＬ（ティーンズソウル）」です。国会前抗議やＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）でつながった高校生で昨年７月１日に結成しました。２１日には全国いっせい高校生デモを計画。「主権者の一人として、政治を問い続けたい」。メンバーのあいねさん（１６）に思いを聞きました。（前田智也）

（写真）デモ行進するあいねさん

　「最初は７人ぐらいで立ち上げました」。大学生たちが声をあげていた国会前の抗議行動に参加したとき、学生服で参加している何人もの高校生を見たのがきっかけです。「私たちもバラバラじゃなく一緒に行動したい」

　昨年は、東京・渋谷、原宿、表参道で安保法制反対のデモを取り組み「とりま（とりあえず、まあ）廃案」「それな（そうだよね）、それな」のコールに大きな注目が集まりました。

初開催となった８月２日の渋谷デモでは、飛び入りも含めて参加者は約５０００人にふくらみました。１２月１９日には「Ｔ―ｎｓＳＯＷＬＷＥＳＴ」と協力して東京、大阪ダブルデモを主催。学習会も月１回のペースで開催しています。

　「私は政治への参加を日常の延長と考えています。街で偶然見かけたデモに飛び入り参加をしたり、政治の話題が自然と出る社会が民主国家として良いことだと思う」

　社会や政治について興味をもったのは中学３年のとき。授業で戦争の映像を見て「単純に戦争は絶対にいけない、止めないといけないと感じました」。公民で習った基本的人権、立憲主義、民主主義…。「日常の生活と政治は深くつながっている」

　受験勉強の真っ最中の２０１３年１２月６日。秘密保護法が強行成立されました。「おかしいと思っていたけど、デモには行けませんでした」。高校入学後、徐々に政治への関心は薄れていきました。秘密保護法の存在も忘れかけた１４年７月１日、目にしたのは集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定」強行のニュースです。「こんな重大な問題を強引に決めていいわけない。安倍政権は未来に無責任。私たちが無関心だと大変なことになる」

　初めて参加した抗議行動は１４年１２月９日、秘密保護法の施行前夜にＳＡＳＰＬ（特定秘密保護法に反対する学生有志の会）が行った首相官邸前行動でした。「テストの最終日で、原宿で友達と遊んだ帰りに２人で向かいました」

　「ずっと日本は平和だと思っていた」といいます。「復興が遅れている被災地やヘイトスピーチ（差別扇動行為）の実態などを知り、自分のなかで小さな違和感が積み重なったことが、行動するようになった根本だと思います」

　安保法制をめぐって緊迫する１５年９月１１日、あいねさんは国会正門前でスピーチしました。

　「私たちは国民の意思を無視する首相に、この国の未来など任せられません。日本が本当の民主主義国家ならば、私たちの声が反映されるはずです。高校生であろうが、大学生であろうが、おとなだろうが、私が日本国民である以上、おかしいことにはおかしいと、声をあげ続けます」

　安保法制の廃止、安倍政権退陣に向けての合言葉は「とりまＵＮＩＴＥ（団結）」です。「安保法制の存廃にかかわらず、現政権が民主主義、立憲主義に反している状態は続きます。これは立場も世代も関係ない。反対する人みんなで手をつなごう、という思いをこめました。そのために、参院選での野党共闘は重要だと思います。野党の政治家のみなさんには、国民が何を求めているかを考えてほしい」と話します。

　今年夏の参院選から１８歳選挙権が実施されます。「間違いなく、高校生が政治について考えるきっかけになると思います。私は、安倍政権に危機感を持っています。同世代の人に現政権と安保法制の危険性を伝えて、投票に足を運んでもらえるようにしたい」

　２１日には、全国いっせいに、安保法制に反対するデモに取り組みます。東京、大阪、東北を中心に３０カ所以上で計画が進んでいます。連日メンバーが集まり、ミーティングを重ねています。「とにかく大変。たまにネットで『遊びたいだけ』と言われることもありますが、遊ぶのなら友達と原宿に買い物に行ってます。声をあげなきゃいけないからやっているんです」

　今後の目標は―。「ずっと主権者の１人として政治を問い続けないといけないと思っています。それともう一つ。もっと声があげやすい社会にしたい。今はすごく社会に対して意見が言いづらい。この雰囲気を変えていきたい」