2016年2月7日(日)
TPP阻止へ連携強化
人権擁護 企業任せにするな
米州5カ国 農民団体など国際会議
【ワシントン=島田峰隆】環太平洋連携協定(TPP)に署名した米州5カ国の農民団体や労働組合などが、各国での批准を阻止するために運動の連携を強めています。1月下旬にはメキシコ市で国会議員も参加した国際会議を開き、TPPに反対する宣言と行動計画をまとめました。
1月27日から3日間開かれた国際会議には、メキシコ、カナダ、米国、チリ、ペルーから、人権団体や環境団体、女性組織、研究機関など多様な約70団体が参加しました。米国以外の4カ国からはTPPに反対する国会議員も出席しました。
米国から参加した「農業・貿易政策研究所」のカレン・ハンセンクーンさんは2月2日、国際会議が開かれた背景に▽米国、カナダ、メキシコで北米自由貿易協定(NAFTA)に反対する運動の結束が進んだ▽米州自由貿易地域(FTAA)構想とのたたかいで米州全体に連携が生まれた―ことがあると指摘。米国主導の自由貿易によって雇用流出や食料主権の侵害などを経験した米州では「TPPが繁栄をもたらすという見通しに懐疑論や不信感が生まれている」と強調しました。
参加した団体と国会議員が共同で発表した宣言は「企業に国家を拘束する権利を与えて、人権の擁護を任意の義務にすることは正義に反する」とTPPを批判。知的財産権保護の条項によって安価な医薬品が買えなくなったり、企業が起こす訴訟で国内法が変更されたり、企業利益の論理で公共サービスが民営化されたりする危険を指摘しました。
行動計画では、議会での批准を阻止するために▽各国で国会議員と協力して、民主主義と主権への危険性を暴露する宣伝を行う▽各国の憲法に照らしてTPPの問題点を問う―ことなどを決めました。発効に不可欠となる米議会での批准をめぐり、米国内のさまざまな団体が反発しており、連邦議員の間で批准に反対する声が出ていることに注目しています。
この宣言とは別に、参加した団体は最終日に、国会議員への圧力をかけ続けることや、国際会議を年内に再度開き、運動を交流することなどを決めました。
メキシコの諸団体の代表らは2月3日、メキシコ市内のニュージーランド大使館前でTPP署名式に抗議する行動に取り組み、宣言などを大使館員に手渡しました。