2016年2月5日(金)
TPP 12カ国が署名
日米など各国市民ら抗議
|
環太平洋連携協定(TPP)を交渉してきた日本、米国など12カ国は4日、ニュージーランドのオークランドで協定に署名しました。TPPは、関税撤廃だけでなく、サービス・投資の自由化、知的財産など広範囲の協定で、多国籍企業の利益のために国民生活を犠牲にするものです。TPPの署名に抗議する行動が同日、日本をはじめ、ニュージーランド、米国、メキシコ、チリなど各国で行われました。
安倍晋三政権は、2012年総選挙の自民党公約に反してTPP交渉に参加しました。交渉を担当した甘利明前TPP担当相は金銭授受疑惑で辞任。代わって、高鳥修一内閣府副大臣が署名しました。署名後、12カ国閣僚は、「TPPは貿易および投資の新基準を設定する」との声明を発表しました。
TPPによって、日本は、過去に関税を撤廃したことのない農林水産物834品目の約半数で関税を撤廃。コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の重要農産物を除外または再協議とするよう求めた13年の国会決議に反し、重要農産物の3割の品目で関税を撤廃します。残った関税についても撤廃に向けた協議を約束させられています。
また、進出国の制度や政策の変更で損害を受けたとする外国企業がその国を相手どって損害賠償の訴えを起こせる投資家対国家紛争解決(ISDS)、多国籍製薬企業の要求を入れた知的財産権保護などが盛り込まれています。さらに、日本のTPP交渉参加の条件として開始された日米並行交渉を通じた米国の対日要求の受け入れなど、TPPは国民生活や地域経済に多大な悪影響を及ぼします。
一方、TPP交渉は秘密裏に行われ、詳細な内容は依然として不明のままです。
TPPの署名を受け、各国で批准手続きが始まります。しかし、TPPの発効には、日本と米国がともに批准することが不可欠です。日本が批准しないだけでも、TPPは発効しません。
署名12カ国
環太平洋連携協定(TPP)に署名した12カ国は次の通り。
日本、米国、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム。