2016年2月4日(木)
きょうの潮流
今どきの子どもたちが将来なりたい職業は? 300人以上の小中学生に聞いたところ、男の子の1位はサッカー選手。昔から人気のあった野球選手はトップ10の圏外に▼幼児から小学生を対象に同様の調査を続けている保険会社のそれも、サッカー選手が6年連続で1位。野球選手との人気差はさらに拡大しているといいます。子どもたちのあこがれといえば一も二もなくプロ野球選手だった時代も今は昔か▼当時18歳の青年が飛び込んだ頃、そこはまだまばゆい世界でした。希代のホームラン打者として高校野球で名をはせ、鳴り物入りで西武ライオンズに入団。高卒新人の記録を次々に塗り替えていったのが、清原和博選手でした▼彼をじっくりと取材したのは四半世紀も前の広島との日本シリーズだったか。プロ6年目ながらベテランのようなふてぶてしさ。始まる前から「MVPを取りたい」と公言する態度も印象に残りました▼輝かしい未来を期待されながら、年数を重ねるごとに彩りを失っていったスラッガー。ライオンズの選手後援会長を長く務めた国際政治学者の畑田重夫さんも「入団当初の初々しさはすぐになくなり、乱れた生活を送っていた」と▼覚せい剤所持容疑の逮捕を聞いたとき、驚きとともにやはりとの思いも。大きな体を縮ませてうつむく姿からは、打席で見せたあの豪快さは見る影もありませんでした。野球やスポーツから、ほんとうの強さや謙虚さを学べなかったスター選手。その末路が投げかける意味は重い。