2016年1月21日(木)
捏造発言 賠償認めず
「慰安婦」研究者「強い憤り」
吉見教授ら会見 東京地裁
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日本軍「慰安婦」問題を研究する吉見義明・中央大教授が、記者会見で自著を捏造(ねつぞう)と言われ名誉を傷つけられたとして、発言者の日本維新の会(当時)の桜内文城・元衆院議員に1200万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁でありました。原克也裁判長は「発言は原告の社会的評価を低下させる名誉毀損に該当するものの、意見ないし論評の域」であるとして、原告の請求を棄却しました。
判決後の記者会見で吉見氏は「自分の本が捏造と言われることは研究者にとって最大の侮辱であり名誉毀損。当然のことを裁判所が判断しなかった。強い憤りを感じる」とのべました。
川上詩朗・弁護団事務局長は、確立した判例基準にも反する「不当判決」と強く批判。大森典子・弁護団長は「『捏造』の意味について裁判所は、双方の主張とはまったく別の解釈を持ち出し、『論評』であるとした。あきれかえる」とのべ、ただちに控訴することを明らかにました。
裁判のもう一つの争点となった「慰安婦=性奴隷は捏造」とする桜内氏の主張について裁判所はいっさい判断をしませんでした。
問題の発言は2013年5月、日本維新の会共同代表だった橋下徹大阪市長(当時)が外国特派員協会で「慰安婦」問題について記者会見した際、桜内氏が言ったもの。「吉見さんという方の本を引用されておりましたけれども“これは”すでに捏造であることが、いろんな証拠によって明らか」と発言しました。