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2016年1月21日(木)

2015年度補正予算案

辰巳議員の反対討論

参院本会議

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 日本共産党の辰巳孝太郎議員が20日の参院本会議で行った、2015年度補正予算案反対討論(要旨)は次の通りです。


 日本共産党は、戦争法、TPP(環太平洋連携協定)、テロ対策、沖縄新基地建設、原発再稼働問題など山積する問題を正すため、野党議員と共同で憲法53条に基づき臨時国会開会を求めました。安倍政権は明確な理由なく拒否しました。集団的自衛権を認める違憲立法のためには国会を延長し、都合が悪くなれば臨時国会召集をしない。憲法無視をむき出しにしたのが安倍政権です。

 オスプレイの佐賀空港配備や、佐世保における水陸機動団の陸自・海自一体の新たな基地計画など、戦争法具体化の一切をやめるべきです。日本共産党は戦争法を廃止するため、共闘をすすめ、広範な市民の皆さんと結びつきたたかいぬいてまいります。

 審議を通じて安倍政権の国民生活軽視の政治姿勢がより一層明らかになりました。総理は、「アベノミクスで経済の好循環が生まれ始めた」とし、今回の補正予算はその皮切りとなると表明しましたが、暮らしや経済の実態は「好循環」とはほど遠いのが実態です。

 「軽減」と国民をごまかしながら消費税増税を強行すれば、家計に深刻な打撃を与え、内需をさらに冷え込ませ、日本経済を悪化させるのは明らかです。政府も消費税率を上げれば上げるほど逆進性が強まることを認めました。「逆進性の緩和」を言うのなら、一番の有効策は消費税増税を中止することです。

 これまで1世帯あたり3万5000円と説明していた増税時の負担増は、実際は倍近くの6万2000円になることを政府は認めたのです。国民を欺いて増税するなどこれほどの背信はありません。消費税増税は中止しかありません。

 一方、大企業には大盤振る舞いです。

 安倍政権の下で実施してきた企業減税は、復興特別法人税の1年前倒し廃止や法人税率引き下げなどで年間3兆円にも上り、来年度以降はこれに1兆円が加わります。減税分は賃金には回らず、その大部分が海外投資家への配当へと流れ、大企業の内部留保はとうとう300兆円を超えました。トリクルダウンの破綻は明らかです。

 経団連が政治献金の呼びかけを再開し、2014年に自民党が受け取った企業献金は22億円を超えました。自動車産業など、法人減税の一番の恩恵者からの多額の政治献金は、税金の還流であり、「経済の好循環」は自民党にもたらされたということではありませんか。政党助成金との二重取りも許せません。

 極めつけは、低所得の高齢者1100万人に対する3万円の「臨時福祉給付金」です。6月までに配り終えるとしています。税金を使った露骨な選挙対策ではありませんか! 安倍首相は「1回だけなのでバラマキではない」と答弁しましたが、1回だけだからバラマキなのです。年金生活者の暮らしを気遣うなら、マクロ経済スライドを撤回し、最低保障年金制度の創設に踏み出すべきではありませんか。

 軍事費の問題です。

 補正予算案と本予算を合わせると過去最高の5兆1718億円となりました。軽装甲機動車38両、96式装輪装甲車8両、NBC偵察車1両の購入など、補正予算と一体に2016年度本予算が増強され、異常な軍拡補正予算となっています。戦争法を財政面から支えるもので、到底認めることはできません。

 さらに、新基地建設問題です。普天間基地をいっそう危険にしているのは、県民の暮らしや安全よりも米軍の運用を最優先させる日本政府の態度であり、解決するためには「移設条件なしの撤去」以外にありません。政府は沖縄県民の総意である「建白書」を受け入れ、基地政策の転換をはかるべきです。

 TPPについてです。

 本会議代表質問でわが党の井上哲士議員が「政府が大幅譲歩し、国会決議を反故(ほご)にし、協定案全文の日本語版すら公表していない」と追及しました。政府は直後に暫定仮訳版を公表しましたが、TPPの全容を知るうえで欠かせない付属書などが訳されていないことに加え、交渉経過の詳細も明らかにされていません。

 日本共産党は、農業関係者の反対の声を押し切り、自民党自身の公約も反故にして「大筋合意」したTPP批准署名に反対するとともに、TPPからの撤退を求めます。

 社会保障費削減、格差と貧困の問題です。

 小泉政権では「消費税は増税しない」ので「痛みに耐えよ」と毎年2200億円の社会保障費自然増抑制を強行しました。安倍政権においては、消費税増税に加え、社会保障費自然増抑制は小泉政権時をはるかに上回るものになっており、「医療崩壊」「介護難民」はより深刻です。最後の命綱である生活保護費も無慈悲に切り下げ、来年度は年金給付引き下げ、福祉給付金の半減、診療報酬の減額など、さらなる改悪のオンパレードです。

 格差と貧困が広がり、女性と子どもの貧困は深刻になっています。とりわけ「ひとり親家庭」の子どもの貧困率は54・6%で、OECD(経済協力開発機構)加盟34カ国で最悪。就労世帯ほど貧困率が進むという世界でも類のない状態です。

 安倍政権は貧困の解決を口では掲げながら、現実から目を背け、貧困率改善の数値目標さえ掲げていません。格差と貧困は政治がつくりだしたものであり、解決する責任は政治にある。この立場に立ちきることができるのか問われているのです。税制、社会保障制度、教育制度、雇用政策などあらゆる施策を総動員して、関連予算を抜本的に増額して取り組むこと、これこそが緊急の課題です。

 日本共産党は、大企業と富裕層優遇を改めて能力に応じた税制への転換を図り、消費税増税は中止して国民生活を応援して経済の好循環をつくり、憲法に違反する戦争法を廃止にするために、全力を尽くす決意を述べて反対討論といたします。


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