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2016年1月20日(水)

辺野古新基地 翁長知事 国を提訴へ

係争委審査却下は不当

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(写真)記者会見する翁長雄志知事(中央)、竹下勇夫弁護士(左)、安慶田光男副知事(奥)=19日、沖縄県庁

 沖縄県の翁長雄志知事は19日の記者会見で、辺野古新基地建設に伴う埋め立て承認取り消しをめぐる県の審査申し出を却下した第三者機関の国地方係争処理委員会(係争委)の決定を不服として、国を相手取って新たな提訴に踏み切る方針を発表しました。

 新基地をめぐる県と国との訴訟は、国が県を訴えた代執行訴訟、県が国を訴えた抗告訴訟に続き、3件目(表)。当事者の双方が訴えあう三つの裁判が同時並行で進む、きわめて異例の事態になります。係争委の判断を不服として地方自治体が提訴するのは初めて。

 係争委は昨年12月、石井啓一国土交通相による埋め立て承認取り消しの効力停止は違法な国の関与だとした県の申し出を審査しないまま却下する不当決定を下していました。

 翁長知事は係争委の決定について「国交相の決定の違法性について、何ら判断せずに却下しており、この点について訴えるべきと判断した」と提訴の趣旨を説明。新基地建設を「あらゆる可能性を追求して、阻止したい」と改めて決意を語りました。

 県は今後、訴状の準備を進め、1月末にも福岡高裁那覇支部へ提訴します。

解説

沖縄 2件目の提訴

司法の場で地方自治問う

 沖縄県の翁長雄志知事が辺野古新基地建設の埋め立て承認取り消しをめぐって2件目の国の提訴を決断したことで、両者から提起の法的な可能性が残されていた当面の訴訟が出そろいました。

 今回、県は国地方係争処理委員会の決定を不服として提訴しました。同委員会は、国の地方自治体に対する関与(国家権力の行使)を不服とした自治体の申し出を審査する機関です。同委員会の存在の大前提は、国と地方自治体の関係は対等であるということです。

 ところが同委員会は、石井啓一国交相が行政不服審査法の趣旨をゆがめて知事の埋め立て承認を執行停止したことについて、「国交相の見解の当否については疑問も生じる」と指摘する一方、「一見明白に不合理であるとまではいえない」(通知書)として違法性の判断を避けました。しかも、なぜ「不合理であるとまではいえない」のか、その理由は一切示していません。「辺野古新基地推進」という安倍政権の政策を不動の前提として、帳尻あわせをしたとしか思えないものです。

 翁長知事が会見で、「国と地方自治のあり方にけじめをつける」と述べたように、今回の訴訟は、国交相決定の効力停止を求めている抗告訴訟と異なり、国の違法性を地方自治法上からも明らかにする意義があります。 (池田晋)

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