2016年1月16日(土)
バス転落 14人死亡
「貸切」でまた事故
15日午前1時55分ごろ、長野県軽井沢町の国道18号の入山峠付近で、スキー客らを乗せたバスが崖下に転落。長野県警によると、乗務員を含め14人が死亡し、27人が重軽傷を負いました。
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バス運行会社「イーエスピー」は、2008年に警備業として設立、バス事業を展開したのは、14年5月のこと。国交省から13日に運行停止処分を受けていました。15年2月の一般監査で、(1)運転手の健康状態把握が不適切(2)点呼の実施記録が不適切(3)運転手に対して適性診断など受けさせていないなどの違反が見つかり、1台の車に20日間の運行停止処分を科したとしています。会社側は、今回乗務の運転手に健康上の問題はないとしていますが、究明が必要です。
バス事故で人命が失われるケースは後を絶ちません。
貸し切りバスをめぐっては2000年に道路運送法の改悪があり、事業参入を免許制から「許可制」にするなどの「規制緩和」がありました。事業者数、車両数が急増し価格競争が激化。過労運転が常態化していました。
そうしたなか、12年に7人が死亡した関越道バス事故が起こり、13年に「新高速乗合バス制度」がうまれました。貸し切りバスのなかでも2地点間の「人」の輸送が目的の場合は「乗合(路線)」バス制度に移行。バス停設置や厳しい安全管理が義務づけられました。それまで670キロだった運転手1人で運転できる距離の上限も、夜400キロ、昼500キロに規制されました。
しかし、国土交通省によると、今回のスキーツアーバスは、2地点間の「人」の輸送以外に宿泊が伴い、リフト券などがついていたりするため、新制度の規制外の従前の「貸切バス」扱いだとしています。 (遠藤寿人)